【住まいと暮らしvol.42】伝統のからむし織からパルクールまで。新しいことに挑戦し続けるー下平陽子さん
部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の高城友貴さんのバトンを受けてご登場いただくのは、下平陽子さんです。
下平さんの暮らしのルール
1)早めにメンテナンスをする
2)決断は自分でする
3)おいしいごはんとおいしいお酒を飲む
洋裁が得意な母の影響で、子どもの頃から布が身近だったという下平さん。福島県昭和村に伝わる、からむし織の栽培から織りまで学んでいたそう。
「からむし(苧麻)は、イラクサ科の多年草の植物。ニュース番組の特集で偶然からむし織を目にして、“これだ!”と思い、翌年の織姫制度の体験生に応募。奥会津に位置する山間の小さな村、昭和村に移住して3年半学びました」
からむし織の魅力は、日々の営みのなかに存在しているところなのだとか。
「からむしに携わっている人にとっては特別な存在ではなく、季節が来たらからむしの畑を焼いて囲いを作り、刈り取りをする。雪が降れば、家にこもって糸作りや機織りをするというように、ごくごく自然な生活の一部。からむし農家も年々少なくなっていますが、昭和村のからむしを守るために、誇りを持って栽培を続けています。静かだけど力強い布です」
以前よりも疲れやすかったり、一度体調を崩すと元に戻すのに時間がかかったり、心身共に少しずつ変化を感じることが多くなったという下平さん。メンテナンスを心がけつつ、新しいことに挑戦しています。
「パルクールや浪曲もそうですが、まだまだ自分の知らない、楽しいことが世の中にはたくさんあると、改めて感じています。仕事でもプライベートでも、あまり保守的になりすぎず、新しい扉を開くこと、人がどう思うかではなく自分がどうしたいかを大事にしながら歳を重ねたいです。あとはからむしへの恩返しも、必ずしなくてはいけないと思っています」
profile
下平陽子/しもひらようこ
宮城県生まれの静岡県育ち。短大卒業後、福島県昭和村のからむし織体験生(通称;織姫制度)として昭和村に移住。3年半、からむしの栽培から織までを学ぶ。その後地元に戻り、アパレルの販売や機織りの仕事をしながら、季節ごとのからむしの作業を手伝うために昭和村に通う生活を続ける。現在は、ミュージアムショップ勤務。
下平さんがバトンを渡すのは、内野水穂さん。「仕事をきっかけに知り合いました。私より少しお姉さんですが、食べものの趣味や価値観が近く、プライベートでもよく遊んでもらっています。さりげない心配りが素敵で、とてもチャーミングな女性です」と下平さん。内野さんの暮らしは、10月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。