植物で生活空間に彩りを。パリで暮らす女性に学ぶ素敵な部屋づくりの極意とは?【後編】

古いものを大切に、完璧を目指さないのがフランス流。なのに魅力的な部屋が生まれるのは、“好き”という気持ちにとことんこだわるから。パリで暮らす日本人女性のお部屋訪問の後編では、生活空間を彩る植物へのこだわりを伺いました。

PROFILE

山根恵理子/やまねえりこ

富山県出身。大学では日本文学を専攻。1988年に渡仏し、90年に日本人の夫と結婚したが死別。バイイングオフィス勤務などを経て、2008年より現職に。

光が回って気持ちよいのがこの部屋の好きなところ

ダイニングの丸テーブルには、日本のカリモク家具、フリッツ・ハンセン、道路で拾ったものなど、さまざまなデザイン違いの椅子を。テーブルの上の照明は夫がセレクトしたもの。

山根さんのアパルトマンがあるモンマルトルの麓は、古き良きパリが残る街。築100年を越えるアパルトマンの最上階(5階)で、間取りはリビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、バスルーム、2つのベッドルームがあって70㎡弱。

そして部屋の中で山根さんが一番長い時間を過ごす場所は?と聞くと。

「ダイニングテーブルに座ると、家全体が見渡せるから落ち着きます。家の中に好きな場所はたくさんあり、お風呂に入って本を読む時間、夏はテラスで植物の手入れをする時間も好きです。天井があまり高くないので、多少の圧迫感はありますが、光が回って気持ちよいのが、この部屋の好きなところ」

部屋のあちこちにグリーンをディスプレイ

アンティークのガラスにはドライフラワーを飾り、グリーンと共にディスプレイとして楽しむ。

植物を育てるのが上手な山根さんは、部屋のあちこちにグリーンをディスプレイ。育ちすぎた鉢は友人に株分けしたり、テラスで育てている茗荷もお裾分け。フランスで茗荷は貴重品なので喜ばれるそう。

「植物はお世話をすると、それに応えて元気に育つのが嬉しいですね」

そんな風に日々の家時間を大切に。

「夫が天国に旅立ち、娘も仕事で日本に住んでいるので、人が少なくなるたびに思い出は残しつつ、荷物を片付けています。今は自分ひとりで自由にスペースを使っていますが、これからはものを増やすのではなく、少しずつ少なくしなければと。だからこそ、今あるものを大切に使い続けようと思います」

花やハーブが並ぶベランダを眺めながら、ソファでお茶を飲む時間も至福。

南米やインドのエスニックな布を生かしたベッドルーム。ベッドの上にいるのは愛猫トラーくん。天井から、猫のおもちゃをぶら下げている。

猫脚のバスタブとアンティークシャワーが味わいのあるバスルーム。アパルトマン建設時のもので、現在は使えない

大切に使い続けるためには、こまめに手入れしたり、修理は大切です。

「バスルームの壁が、なぜここだけ木なの?と、ずっと気になっていて。思い切って木を剥がし、白壁に塗り直そうと思っているんです。フランスの家はどこも古いので、水漏れが起きるのは日常茶飯事。そういった修理はプロにお願いしていますが、壁の塗り替えなら自分でなんとかできますよ!」

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写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、文/今井 恵

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『クウネル』No.122掲載

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