まるでNYのアトリエ。浅野忠信さんの母で画家・浅野順子さんの部屋がカッコいい理由【中篇】

作品が生み出されるクリエーターの家を訪ねます。今回は、俳優・浅野忠信さんの母であり、60歳を過ぎてから独学でアーティストとしての活動を始めた画家・浅野順子さんのお部屋訪問の第2弾。浅野さんが約20年前から暮らし、創作の場にもしているビンテージマンションの個性あふれる魅力的な部屋とは?

PROFILE

浅野順子/あさのじゅんこ

日本とスウェーデンのダブル。60代で、独学で絵画を描き始める。11月には渋谷の現代アートギャラリー『YUGEN GALLERY』にて個展を開催予定。Instagram:@junkowillma

自分らしくカスタマイズを

窓に面したソファベッドでほっとひと息。この日着ていたトップスは、スカーフ3枚をつなぎ合わせて「ちゃちゃっと」作ったそう!

坂の上にある部屋は見晴らしがよく、窓からは、空と緑がよく見えます。当時、90歳近い母の介護をしながら暮らす家を探していた浅野さんには、ちょうどいいゆったりした間取りでした。

「家の目の前はバス停とコンビニだし、隣にはお医者さんがある。デパートや専門店の並ぶ繁華街までも歩いてすぐなのに静かで、本当に住みやすい。母の介護をしていたときは、明治生まれの母が落ち着くようにと、窓には障子をして、台所を明るいオレンジ色に塗っていたのよ」

トルソーに絵を描いた作品、息子・忠信さんのフィギュア、お嫁さん作の肖像画、仲良し3人組の写真など、愛にあふれたコーナー。

ストローハットのリボンをリメイク。スカーフを巻き、アクセサリーをあしらった。服のリメイクは仕事にしていたほどの腕前。

それから壁は何度も塗り替えられ、ときにはピンクにしてメキシコ風、ときにはシンプルな白など、浅野さんの暮らしのテンションを楽しく盛り上げてきました。でも、ここ数年はペパーミントグリーンに落ち着いています。

「絵を描くようになって、どんどん荷物が増えてしまったの。それが壁をふさいで、気軽にペンキを塗れなくなってしまいました」

壁と同様、自分で塗装した白色の床のいたるところには、点々模様の絵の具が。「筆を振るように絵を描くことも多いから、あっちこっちに絵の具が飛んじゃうのね」。その飛び散った色とりどりの絵の具がいかにも「アーティストの部屋」といった雰囲気を醸し出していてなんともかっこいいのです。

「ニューヨークの画家のアトリエみたいですね」と伝えると、「ニューヨークのアトリエなんて、行ったことも見たこともないわ」と無邪気に笑います。海外のアトリエらしいといえば、土足なのも「らしさ」のひとつ。絵を描くようになって、絵を運び出すときなどに靴の脱ぎ履きが面倒になり、土足にしたのだといいます。(近日公開の後編に続きます)

【前篇はこちら】

浅野忠信さんの母でアーティストの浅野順子さんの創作を支える自由な部屋とは?

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/松村隆史、取材・文/鈴木麻子

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この記事の
プレミアムメンバー

浅野順子

1950年生まれ、神奈川県横浜市出身。日本とスウェーデンのダブル。独学で絵画を描き始め独特のスタイルで創作活動を続け、2013年63才で初個展【Junko Asano Exhibition】nuisance galerie以来個展を多数開催。現在もnew challenge進行中。

『クウネル』No.122掲載

やっぱり、家が好き!

  • 発売日 : 2023年7月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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