【暮らしのヒントvol.4】60歳を超えたら、日々の小掃除でさわやかに
毎日の暮らしや身のまわりのこと、機嫌よく整えられていますか?体力や気力が若者のころとは違うと感じても、いまの自分に無理のないやり方で日々を気持ちよく。一日の終わりにフックにひっかけて乾かす。小さなストレスを 見逃さない気持ちが大事。クウネル世代の整え上手が実践している生活のルール、参考にしたいことがいっぱいです。
目 次
阿部絢子/あべあやこ
生活研究家・薬剤師 77歳
洗剤メーカーを経て、生活研究家に。世界各国の家庭にホームステイし、その国の暮らしや家事、環境などを研究。現在、薬剤師としても勤務。新刊に『ぶらり、世界の家事探訪』(大和書房)。
■ルール1■ ホコリの出るところを見極めてコンパクトに
活研究家としての活動以外に、薬剤師としても現役で働いている阿部絢子さん。阿部さんが何十年もこの間実践しているのは日々の小掃除。
「掃除に時間と体力は使いたくないん です。年とともに足腰も痛くなるし集中力も途切れる。60代になったとき大掃除はやめました。やるところは最小限にとどめて、気づいたときにやる、そんな小掃除をすれば問題なしです」
阿部さん曰く、ホコリが出るのは主に衣類から。ならばと、着替えは毎日洗面所で行うことに。外出先から帰宅 したら、そこで着替えて翌日の着替えもクローゼットから持ってきて、置いておく。そうすればホコリは洗面所に集中。着替えるたびに、床をささっと掃除するだけという合理的なスタイル。
「自分の暮らしを心地よくするためにどこにポイントを置くか考えるといいと思います。玄関なのかリビングなのか、場所を決めて掃除を集中させる。全部やろうと思うと疲れますからね」
リビングの照明もホコリがたまりやすい傘付きから傘なしのLEDライトに変更。コンパクトな掃除こそ快適な暮らしの近道といえそうです。
■ルール2■ まめに拭き取れば、水あかストレスなし
掃除は気になったらやるのが阿部さんのリズムですが、これだけは必ずと徹底しているのが水滴の掃除。
「水滴は私にとって大敵。水あかになると、とにかく掃除が大変でしょう。浴室の床も壁も、洗面台もシンクも、使ったら必ず拭き取るようにしています」
水まわりの近くにはさまざまな布を配置。とくにキッチン用は、水滴用と油用に分けて用意されています。
「水滴用はマイクロクロス、油用はファイバークロスを使っています。道具を分けることで、掃除はとてもしやすくなるんですよ」
水滴用のマイクロクロスは水を吸収して乾きも早く、ファイバークロスは、濡らして絞って使うことで繊維が油を吸着。そんな用途に合わせた布の使い分けも大いに参考になりそうです。
■ルール3■ 道具は手の届くところに。デザインの良さも大切に
ヨーロッパのさまざまな国に仕事道具を探しに行ったり、ホーム ステイ先で観察したり、阿部さんにとって掃除道具は好奇心の的。そんな機能的で、オブジェとしても形のいいさまざまな道具たちが部屋の隅々に。
「気がついたらすぐに掃除できるように、道具はあっちこっちに置いてます。とにかく掃除道具が好きなの。飼っている猫が爪とぎしたときに出る塵も、 近くにある道具で掃除をします」
お気に入りは、スウェーデンのメーカーから譲ってもらったアライグマの毛を用いた天井ブラシ。20年近く使ってもへたらず、フォルムも美しい。こちらでリビングの電球もササッとホコリはらい。掃除道具を探すことなくス マートに掃除できるのがポイントです。
■ルール4■ 玄関掃除で、 毎日の気分を整える
玄関は、外から帰ってきたとき、汚れていると疲れた気分になるのでいつも整頓している場所のひとつなのだそう。
「玄関に置くのは靴足のみ。他は靴箱に入れて、すっきりとさせています。 床のホコリが目立ってきたら古布で水拭きをしておしまい。毎日はしません」
なんでも気になったとき即やるのが阿部さんスタイル。雨傘などによって玄関にも水滴が少しでもあれば拭き取り、ホコリが目立てば、たとえ疲れて いても水拭き掃除をする。
暮らしのオンオフをスイッチする場所だからこそ、きれいにすることで気分も整ってくるんですね。
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、取材・文/牧田ちえみ
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『クウネル』No.117掲載
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