パリにももうすぐ春がやってくる!美術館と公園とスイーツを満喫するパリらしい一日

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。今月は桜井さんが、春を感じられるようになったパリでの、素敵な黄金おでかけコースを教えてくださいました。
爽やかな青空に誘われて「リュクサンブール公園」へ
急に暖かくなったと思えば冬の寒さが戻ったり、不安定な天気が続くパリですが、それでも確実に春は近づいている、そんな気がした3月半ばのある日。爽やかに晴れ上がった青空に誘われて、リュクサンブール公園に行ってきました。

読書したり、おしゃべりしたり…寒くても暑くても、天気さえ良ければとにかくこうして人が集まって思い思いの時を過ごすリュクサンブール公園。奥に見えるのが宮殿。
サンジェルマン・デプレ地区とカルチエ・ラタンのちょうど中間にあり、リュクサンブール宮殿の庭園として1612年に誕生した大きな公園です。

彫像の周りにはこうしてお花が植えられている。こちらはフランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの像。

「ギリシャの俳優」像。遠くにはフランスの偉人たちが祀られるパンテオンが見える。
宮殿は現在、元老院(日本で言うところの参議院)の議事堂として使われています。公園のいたるところに100を超える彫像や記念碑、噴水が散りばめられているほか、椅子やベンチ、芝生もたくさんあって、緑の中でただのんびりと過ごすことのできる、まさに左岸のパリ市民の憩いの場です。子供向けの遊具場、人形劇場、テニスやバスケのコート、ペタンク場などさまざまな施設もあります。

公園内いたるところに設置されているこの椅子は、「リュクサンブール」と名付けられ、この庭のシンボルとも言える。この少しくすんだグリーンの色合いがまたパリらしい。
パリ市内の公園のほとんどはパリ市が管理していますが、このリュクサンブール公園は元老院が管理する珍しい公園です。80人の専任庭師たちが25ヘクタールもの敷地内に植えられたバラエティ豊かな植物を丁寧に手入れしていて、春、夏、秋、いつ訪れても四季折々の草花を愛でることができます。

桜のようなピンクのお花が咲いているのを見るだけで、ついテンションが上ってしまう。
冬は唯一、モノクロ写真のように色味が少なくなる季節ではありますが、再び花々が咲き乱れる春を迎えるまでの大切な準備期間。3月半ばには花壇に植えられた球根の花や、日当たりの良いエリアの黄色やピンクの花がついに咲き始めて、春の足音が聞こえてくるようでした。
「リュクサンブール美術館」にふらりと立ち寄って

リュクサンブール美術館はフランス初の一般公開の美術館として1750年に開館。現在はルーヴルに所蔵されている、ダ・ヴィンチやラファエロ、レンブラントなどの絵画が展示されていた。
この公園内、宮殿の西側にリュクサンブール美術館があります。常設展示はない小さな美術館ですが、企画展の質の良さで知られていて、ちょうど3月19日から「Tous Léger !(みんなレジェ!)」という新たな展覧会が始まっていたので立ち寄ってきました。

手前の作品はニキ・ド・サンファル(1999年)、そのすぐ右の絵画はフェルナン・レジェの作品(1951)。

右はギルバート&ジョージ(1982年)、左はフェルナン・レジェ(1954年)。
グラフィックでカラフルな独自のスタイルを生み出し20世紀前半に活躍したフェルナン・レジェの作品と、20世紀後半を代表するイヴ・クラインやニキ・ド・サンファル、キース・ヘリングなどの作品が隣同士に並べられ、レジェがのちの芸術家たちに与えた影響を発見できる、ワクワクする展覧会。

パリの美術館はミュージアムショップも充実しているのでついついお買い物をしたくなってしまう。
私もそうなのですが、コンテンポラリーアートが好きな人は必見です。7月20日まで開催中。
「マドモワゼル・アンジェリーナ」でスイーツを頬張りひと休み

リュクサンブール美術館の入口脇にある「マドモワゼル・アンジェリーナ」。いつ覗いてもそこまで混雑していないのが嬉しい。
美術館鑑賞の後は、入口すぐそばにある老舗サロン・ド・テ「アンジェリーナ」の支店「マドモワゼル・アンジェリーナ」でひと休み。重厚な内装のリヴォリ通りの本店とは打って変わって、こちらは天井が高くてガラス張りの明るい空間。

「タルト・モンブラン・ヴァニーユ」、11€なり。バターたっぷりのサブレの上に、マロンのケークとバニラのムース、マロンのコンフィが層になっていて、その周りにバニラ風味のクリームがたっぷり。幸せな甘さ。
いつも定番のモンブランを食べてしまうので、この日は「タルト・モンブラン・ヴァニーユ」にしてみました。美味しかったけれど…でもやっぱり次回はモンブランにします。

17世紀の噴水「メディシスの泉」。どんなにたくさんの人がいる季節や時間帯でも、ここだけはなぜか静けさが漂う。
散歩日和の初春の日、公園でのんびり散歩してからアートを楽しみ、最後はスイーツでしめるなんて、まさに最高のパリ黄金コースでした!
写真・文 桜井道子
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トリコロル・パリ
荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/