4月も半ばを過ぎてようやく、このパリにも、青空がのぞく春らしい陽気が訪れつつあります。あぁ、やっと重たいコートが脱げる！と身も心も軽くなると、今まで抑えていた散歩したい気持ちが一気に湧いてきます。そこで今回は、私がよく歩くお気に入りのお散歩コースを紹介したいと思います。

場所は、パリ右岸にあるサン・マルタン運河界隈。庶民的な雰囲気のある10区から11区にかけて流れる全長4.55kmの運河で、並木に縁取られた河岸は地元に暮らすパリジャンたちの癒しのスポットです。

散歩のスタート地点は、メトロ5号線のジャック・ボンセルジャン駅。出口のある広場からイヴ・トゥディック通りに向かい、まずは刺繍ブローチのブランド『Macon & Lesquoy』(マコン・エ・レスコワ)の新作をチェック。随分前から大ファンで年２回の新コレクションを楽しみにしています。今季のテーマは、オリンピック！パリのエスプリが効いたデザインと丁寧な手仕事が融合しているところが魅力です

次は斜め向かいにある人気ブランジュリー『Du Pain et des Idées（デュ・パン・エ・デ・ジデ）』で、大好きな林檎タルトを買います。このお店はクロワッサンやパン・オ・レザンといったヴィエノワズリーも人気ですが、薄切り林檎がきれいに並べられたパイ生地のタルトが絶品！

パン屋さんを出てマルセイユ通りを運河に向かって行くのですが、この通りには、『A.P.C』や『agnès b.』、『Soeur』といった好きなブランドが並んでいるので、ウインドウショッピングをしながら歩きます。運河が見えてきたら、渡る前に、ヴァルミー河岸の本屋さん『Artazar』（アルタザール）をのぞきます。赤いファサードが目印の、この界隈で20年以上愛され続けるグラフィック書の専門店。

橋を渡って運河の向こう岸にあるラ・グランジュ・オ・ベル通りへ。ヴィンテージ感のある手作りアクセサリーの店『Dante & Mariaダンテ・エ・マリア』に立ち寄ってから、角にあるサン・ルイ病院の煉瓦造りのファサードを愛で（時間があれば中庭をお散歩するのもおすすめ！）、10番地にあるお目当てのカフェ『Ten Bells』(テンベルズ）へ。

いつものカフェ・クレームをテイクアウトして、運河沿いまで戻り、ベンチに腰かけておいしいコーヒーと林檎タルトで至福のおやつタイムを過ごすのです。写真を撮ったこの日は、にわか雨が降り始めたのでカフェの中でコーヒーを味わい、林檎タルトは翌日の朝ごはんとしておいしくいただきました。

ゆったりと流れる運河を眺めながら、ただぼおっとしているだけで、日常のあれこれを忘れて心が少し解きほぐされる気がします。ほんの500メートルほどの距離ですが、繰り返し歩いてしまう大好きな散歩道です。