福岡のおしゃれな女性たちの間で知らない人はいない雑貨店『B・B・B POTTERS(スリービポッターズ)』。日々の暮らしを楽しむ道具を販売しています。そのディレクターの石井風子さんが、長年、憧れていたのは自身が扱う道具を実際に使い、シーンで提案できるホテル。そのホテルができるまでのストーリーをご紹介します。
石井風子さんが営むお店『B・B・B POTTERS』について少し。B・B・Bは、淹れるのBrew、焼くのBake、茹でるのBoilの頭文字です。どれも日々の暮らしの中で何気なくしていること。こんな日々の営みを豊かにする道具を提供したいという思いで開かれました。そして、陶工という意味のPOTTERS は、石井さんが前職から関わってきた陶工をはじめとする職人・作り手さんたちへのオマージュだといいます。オープン当初は、白いお皿を中心に台所やテーブルまわりのものを扱っていましたが、次第にインテリア、ガーデニング、ステーショナリーグッズなど、生活全般にまつわるものへと広がっていきました。福岡の街になくてはならないお店として成長し、来年で30周年を迎えます。
夢は見ながら傍らに置き、今できることを精一杯やるというのが石井さんのスタイルといえるでしょうか。夫と経営母体である『WEEKS』を立ち上げ、雑貨の卸業を始めたときも、いつか自分たちの店をやりたいという夢を傍らに置き、卸業を軌道に乗せる努力をしたといいます。そして『B・B・B POTTERS』をオープンさせてから25年後、次の夢が現れたのです。
「売りっぱなしではなく、売っているものをどう使うかという提案ができるホテルのような場所が作れるといいな」と。それはぼんやりとしたものでしたが、ゆっくりと温め続けました。そして、曲折を経た2016年、糸島の国定公園内の建物と出合います。それはもう、夫婦揃ってひと目惚れでした。「今の仕事に関わって40年余り、その集大成がゲストハウスなのかもしれません。1枚の白いお皿から始まり、家具に至るまでの暮らしに関わる生活道具を販売してたどり着いた道。この場所との出合いは、私たちにも突然に巡ってきたチャンスでした。叶わぬ夢でも、準備をしていると、チャンスが巡ってきたときに、すぐに踏み出せるのですね」。
『bbb haus』の3つのbはbed & breakfast にbeach のb。こうして新しいbbbの旅がスタートです。
【2】へつづく
石井風子/いしいふうこ
ディレクター。88年に『WEEKS(ウィークス)』を立ち上げ、
91年に福岡では希少だった生活雑貨店『B・B・B POTTERS』を
開く。数々の店舗経営を手がける中、『B・B・B POTTERS』、食器と道具の専門店『BBB&』、『bbb haus』のディレクションを担当。
b b b h a u s /スリービーハウス
住:福岡県糸島市志摩小金丸1897
電:092-327-8020
営:月曜、火曜 冬期休暇あり(1月中旬~2月中旬)
『ku:nel』2020年9月号掲載
写真・文 山本ゆりこ / 編集 鈴木麻子