京都の町屋建築を今に残す『貴了庵』で伝統の京繡(きょうぬい)を体験【川邉サチコさんと美木ちがやさんの母娘旅】

大の京都好きという川邉サチコさんと美木ちがやさんが7年ぶりに訪れた京都、母娘旅。 好奇心あふれる母娘が出会った素敵な人は神聖な庵『貴了庵』にて、京繡伝統工芸士として活躍する長艸純恵さんです。

PROFILE

川邊サチコ/かわべさちこ

トータルビューティクリエーター。トップメゾンのショーのヘア&メイクとして活躍。一般の人を総合的に美しくするKAWABE LAB主宰。仕事で月に一度、京都に通っていたことも。

美木ちがや/みきちがや

トータルビューティデザイナー。明治時代より美容、理容技術を初めて日本へ広めた家系に生まれ育つ。カメラマン、スタイリストなどマルチに活躍。温故知新の京都に興味津々。

美の刺激を受けに、 素敵な京都人に会いたくて

刺繍作家・服飾デザイナー・京繡伝統工芸士の長艸純恵(ながくさすみえ)さんと一緒に、貴重な3階建て町家『貴了庵』の門で。

京都で活躍するカッコいい人に会いたいというふたりの希望から訪れたのは、794年の平安京遷都の際に平城京から遷座した平野神社の近くに構える『貴了庵』。京繡を体感できる庵です。夫の長艸敏明さんとともに、京繡伝統工芸士として活躍する長艸純恵さんが、笑顔で迎えてくれました。「私たちの作品を見ていただいたり、京繡のお教室などを行っています」

プロの技に直接触れ、体験もできる神聖な庵

長艸敏明さんと長艸純恵さんの京繡が施されたオリジナルのバッグ。庵では作品や刺繍小物、和装品の展示、販売、誂えを行います。

純恵さん指導のもと、京繡を体験したちがやさん。

「絹糸で一針一針刺繍することがこんなにも難しいなんて。長艸さんの繊細な技を拝見し、京繡に神聖さを感じました」

〝縒り〟を変えるという技法だからこそ叶う美しさがあると純恵さんは言います。「縫うもの、柄によって糸の縒りを変え、膨らませたり艶を出したりするんですよ。刺繍は奈良飛鳥時代に伝来してきたと言われています。その魅力や楽しさを知ってもらえたらと、この庵を始めました」

50年以上にわたって京繡に携わる純恵さんと接したサチコさんは、「伝統の技を守る姿勢は本当に素晴らしい。プライドを持って頑張っている方がいることは嬉しく、励みになりますね」

絹糸や金糸、銀糸を使い何通りもの技法を駆使する京繡は、繊細な優雅さが特長の伝統工芸。着物、緞帳など様々な用途で彩ります。

京繡に使う刺繍糸かせ。見事な光沢と発色の絹糸。「京繡は12本合わせで、関東の刺繍は14本。太さが違うんですね」と純恵さん。

長艸繡巧房 貴了庵(ながくさぬいこうぼう きりょうあん)

住:京都市北区平野鳥居前町5
営:10:30〜17:00 (入庵16:30まで)
休:第2土曜、日曜、祝日
料金:1,000円 (抹茶・お菓子付き)
予約:事前に電話でご予約ください。都合により臨時休庵や早めに閉庵することがあります。
長艸繡巧房公式HP

『クウネル』11月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/河田実紀、コーディネート/オブザアイ

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