伊藤千桃さん・山の上の台所から。とっておき、夏みかんのドレッシングやパイのレシピ。

伊藤千桃 蒸篭

豊かな自然に囲まれた神奈川県葉山町で四季折々の野菜や山菜、果実を収穫して食し、自給自足に近い生活を営む伊藤千桃さん。収穫したばかりの春の山菜を使った料理を披露していただきました。

ほろ苦い春のご馳走

三浦半島の西北部に位置する葉山町。山の麓の伊藤千桃さんの家の庭は、ふき、つくし、よもぎ、せりなどが一斉に芽吹き、収穫時期を迎えていました。それらをせっせと調理して、その日のご飯にしたり、保存食にしたり。これが伊藤千桃さんの変わらぬ日常です。

「この時期の採れたての山菜は、新芽なので柔らかくてアクも少なく、簡単な調理で滋味深い味わいに。ほろ苦さに病みつきになる、春ならではのご馳走です」

山菜料理 つくし ふき 伊藤千桃
左:袴を取り、だし汁(酒、みりん、しょうゆ、お好みで砂糖少々)で煮て、最後に梅干しを刻んで加えたつくしの煮つけ。右:「ふきは柔らかい新芽なので、サッと茹でこぼし、筋を取って食べやすい大きさに切って、ごま油で炒めて、だし汁を加えて煮詰め、酒、みりん、砂糖、塩で味を調えます」
山菜よもぎ 伊藤千桃
よもぎの新芽はさっと揚げて天ぷらに。「時間のある時は孫の大好物のよもぎ団子を作ります。その際にできる、よもぎをゆでた煮汁は捨てずに植木の虫よけ剤として使っています」
山菜料理 セリとフキ
自生のセリとフキが庭にたくさん芽吹き、収穫を兼ねた庭仕事が朝の日課に。「毎日のようにセリの炊き込みご飯を楽しんでいます」
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捨てるところナシの夏みかん

伊藤さんが35年以上前から大事に育てている夏みかんの木。今年も豊かに実りました。「年によって差はありますが、家族が食べるには十分な量を収穫させてくれています。皮はマーマレードやピールに、果実や果汁はジュースやドレッシングに。鯖のちらし寿司に実をほぐして入れ、お酢の代わり実の絞り汁を使うと美味しいですよ」

マーマレードやピールを作る際にできる、皮の煮汁はワックスとして床磨きとして使用。「天然のものなので愛犬がなめても安心です」

夏みかん 伊藤千桃
右上から時計回りに、夏みかんのゼリー、夏みかんドレッシング、収穫して追熟させている夏みかん、夏みかんパイ、夏みかんマーマレード。「今年は大豊作。果実や果汁は料理に使い、皮もマーマレードに」
伊藤千桃 夏みかんパイ
夏みかんの絞り汁を混ぜたカスタードが味の決め手。「パイ生地にフォークで穴をあけて重しをのせてオーブンで焼き、重しを外してさらに焼いて冷まします。固めに作ったカスタードクリームに夏みかんの絞り汁を混ぜ、パイ生地にのせて冷蔵庫で冷やしたら完成です」
夏みかん ドレッシング 伊藤千桃
夏みかんの絞り汁に砂糖、白ワイン、オリーブオイル、こしょう、塩を加えてよく混ぜたドレッシング。「味を見てお好みでお酢を足してください」
ブロッコリー 伊藤千桃
エディブルフラワー 伊藤千桃
エディブルフラワーのペチュニア。「ケータリングの際、サラダの彩りにしています」
パセリ 伊藤千桃
青々と立派に育ったパセリ。「春の新芽は、柔らかいのでサラダに入れても美味」
じゃがいも 伊藤千桃
じゃがいもの芽。「市販の肥料まかないので、育つのにすごく時間がかかります。ポテトサラダにするのが楽しみ」
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取材・文/坂口みずき

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この記事の
プレミアムメンバー

伊藤千桃

1950年ジャカルタ生まれ。インドネシアと日本のダブル。「桃花源」の屋号で、神奈川県・葉山の自宅をベースにお弁当ケータリング、バーベキューサービス、民泊などを行う。著書に『千桃流・暮らしの知恵』(主婦の友社)が。
Instagram:@toukagenhayama

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