バゲットが日常食であるのに対して、クロワッサンは、少し贅沢なパンと位置付けているフランス人。中でも、「これは特別」というクロワッサンがあるようです。
ひとつが「パンオショコラ」です。
そもそもフランス人の多くは、クロワッサンは、週末など少し特別な日のパンと考えています。平日はバゲットで、週末は焼きたてクロワッサンを自宅やカフェのブランチで楽しむ……というのが、一般的なフランス人のスタイルなのです。
パンオショコラは、通常のクロワッサンより値が張るので、さらなる贅 沢品。美味しいからとつねに食べるのではなく、時々楽しむのが、倹約家なフランス人のライフスタイルなのです。
さらに、より美味しいクロワッサンは〝反対巻き〟がいいってご存知でしたか?
その名を「クロワッサン アンヴェルセ」といいます。アンヴェルセとは、逆という意味。通常のクロワッサンは、生地にバターを巻くのが基本ですが、「クロワッサン アンヴェルセ」は、バターで生地を巻き込んでいくという技法の違いがあります。
バターが溶けないように生地を休める時間が必要だったりと、作るのに手間や時間、技術を要するため、こだ わりのあるパン屋さんでしか見つからない〝幻のクロワッサン〟ともいえます。
いつかパリで巡り合えたら、ぜひお試しください。
『ku:nel』2019年11月号掲載
写真 Yas/コーディネート・文 井筒麻三子/編集 今井 恵