【いま巡りたい街】レベルの高い美食の街、神楽坂のおすすめスポット(後編)

今注目を集める東京の5つの街。地元を愛する達人に、地元民だからこそ知る隠れたスポットやとっておきの楽しみ方を聞きました。花街の風情とフランスの香りを色濃く感じる神楽坂は美食の街。 今回は料理研究家・脇雅世さんが太鼓判を押すフードアドレスをご紹介。

前編はこちら

『Estación』(エスタシオン)スペインの郷土料理をベースにした、モダンスパニッシュをコースで。

野堀シェフが一番好きなガリシア地方のスープ「カルドガジェゴ」とパイ「エンパナーダ」(コース¥8,800の中の1品)。

ワインはスペインと日本の自然派をラインアップ。

目と鼻の先に系列のワインバー「ORI」もある。

小栗横丁から熱海湯に続く石の階段の途中。まるでヨーロッパの路地裏のような所に佇むスペイン料理店。オープンは2015年。「センスのよいシェフの料理はとても洗練されています」(脇さん)。

店名はスペイン語で「季節」の意味。「四季折々の日本の食材を使ったスペイン料理をコースで楽しんでください」と野堀貴則シェフ。

Estación(エスタシオン)

住:新宿区神楽坂3-6 カーサピッコラ神楽坂1F
営:18:00~24:00(23:30L.O.)
休:日曜

『草原の料理 スヨリト』羊好きにはたまらない。大人数なら羊の丸焼きをぜひ。

お通しは、ラムのショルダー肉をタマリスク(紅柳)の串で炭火焼きにしたもの。香りが独特。1本 330円。

4種類から餡を選べるラムのバンシ(水餃子)825円(5個)。皮がもちもち、肉汁ジュワッ。

内モンゴル出身の店主、スヨリトさんが2023年1月にオープン。「ガラス越しに羊を焼いている姿が見えるので、1人でふらっと入ってしまいました」(脇さん)。メニューは串焼きから水餃子、煮込み、スープ、〆にいたるまで羊料理のオンパレード。

「2軒隣のワインショップ『JAJA』がセレクトしたワインがよく合う」(脇さん)

草原の料理 スヨリト

住:新宿区矢来町82
営:平日11:00~15:00、17:00~23:00(22:30L.O.)土曜日12:00~23:00(22:30L.O.)、日・祝日12:00~22:00(21:30L.O.)
休:月曜(祝日は営業)

『梅香』姉妹のコンビネーションが絶妙。辛くない料理もおいしい四川料理店。

麻婆豆腐や担々麺が名物として知られるが、ぷりぷりの海老が入ったえびそばも隠れた人気メニュー。1,320円

姉の伊藤さんが厨房でパワフルに料理をし、妹の山村昌代さんがサービスをする。

四川料理といえば、辛い料理というイメージがありますが、「実際に四川省に行くと、辛い料理は半分くらい。四川料理は香りの料理です」とオーナーシェフの伊藤光恵さん。東京・新橋の名店「四川料理 趙楊」で修業後、2008年に独立。「オープン当時から通っています。辛くない料理もおいしくて、特にえびそばは絶品」(脇さん)。

梅香(メイシャン)

住: 新宿区横寺町37-39 中島第一ビル1F
営:12:00~14:00(13:30L.O.) 水〜金曜/17:30~21:30(20:30L.O.) 土・日・祝日/17:30~21:00(20:00L.O.)
休:月曜・火曜

『CANAL CAFE』都会の喧噪を忘れさせてくれる、お堀に浮かぶ水上レストラン&カフェ。

レストランサイドはテラス席とインドア席があり、ドリンクやデザート、アラカルトからコース料理まで。デッキサイドはカジュアルなメニューをセルフサービスで。

ナポリスタイルの窯焼きピッツァは通販でも人気。マルゲリータ 1,980円

1918年に牛込濠内に作られた東京最古のボート場「東京水上倶楽部」のデッキを利用し、1996年にイタリアンレストランとしてオープン。桜の季節はまさに絶景で、夏には花火も上がり、蛍も見られます。

「東京のど真ん中で、水辺でゆっくり食事やお茶を楽しめる貴重な場所。まさに都会のオアシスです」(脇さん)

CANAL CAFE(カナルカフェ)

住:新宿区神楽坂1-9
営:月~土11:30~22:00(21:30L.O.)日・祝11:30~21:30(21:00L.O.)*3月16日~4月7日まではお花見特別営業で11:00~22:00(21:30L.O.)
休:第1月曜

『Atypique』初めて会った人とも仲良くなれる、フランス好きが集うサロン。

たっぷりのポテトがついた合鴨のコンフィ 1,200円

パリのカフェーをイメージした店内は、シャンデリアが煌めき、棚にはアンティークのバカラやラリックのグラスが並ぶ。

料理は夫の智宏さんが担当。

かつてNHKのフランス語講座の講師を務め、現在は大学でフランス語を教える明石伸子さんが「フランス文化をもっと知ってほしい」と2016年にオープン。

「映画や音楽から哲学、政治、スポーツまで、マダムのトークの守備範囲の広さにいつも驚きます。ご主人が作る料理はヨーロッパ長期在住の経験を生かし、気が利いていてバランスがいいんです」(脇さん)

Atypique(アティピック)

住:千代田区富士見 2-2-11 INOUEビル2F
営:11:00~23:00
休:土曜・日曜・祝日

『東京大神宮』“東京のお伊勢さま”と親しまれる、 縁結びの神社。

1880年に「日比谷大神宮」として創建され、関東大震災を機に日比谷から現在地に移る。戦後「東京大神宮」と名を改めた。拝殿付近、せせらぎの水辺にある椎の木が御神木で、待ち受け画面にすると運気が上がると言われているとか。

神楽坂エリアには由緒正しい神社仏閣がたくさんありますが、“東京のお伊勢さま”と親しまれているのがこちら。日本で最初に神前結婚式を行った神社であることから、縁結びのパワースポットとして人気。敷地内には披露宴ができるマツヤサロンがあり、「娘たちの謝恩会でお邪魔しました。夫の同窓会もいつもこちらです」(脇さん)

東京大神宮

住:千代田区富士見2-4-1
営:6:00~21:00(お守りなどの授与8:00~19:00、御朱印受付9:00~17:00、祈祷受付9:00~16:30)
休:無休
支払い:カード不可

細工町や箪笥町といった昔ながらの町の名前が残り、路地裏の古い日本家屋に花街の風情を感じる一方で、東京日仏学院があったことから、フランスの香りがするカフェやレストランも多い神楽坂。

「新しいお店ができて入れ替わりが激しい反面、小さいながらも長く続いている個人店も多い。神楽坂の魅力をひと言でいうなら、古くて新しいところかな」

ガイド紹介

脇 雅世/わき・まさよ

料理研究家。約10年フランスに滞在し、パリのル・コルドン・ブルー校や数々のレストランで料理を習得。帰国後、料理研究家として活躍。神楽坂で35年以上料理教室を主宰し、2023年に京都・西陣に料理スタジオをオープン。

『クウネル』2024 5月号掲載 写真/加瀬健太郎、近藤沙菜、取材・文/和田紀子

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『クウネル』No.126掲載

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