「手土産上手」として、料理業界で名を馳せている肱岡香子さん。
ありとあらゆる「おいしい甘いもの」に精通しています。どうして?と尋ねれば、答えは「好きだから」のひと言に尽きるようです。
撮影現場には必ずといっていいほど手土産を持参する肱岡さん。それを楽しみにしているスタッフも少なくありません。
「お菓子の撮影だから、塩味系にしようかな?とか、おなかいっぱいでもツルンと入る水羊羹は?とか、思いを巡らせ、お持ちするようにしています」
星の数ほどのリストから、挙げてくれたのは「この時期しか食べられな
い」岬屋の栗蒸し羊羹と、最近一押しのFOBSのゴーフレット。栗蒸し羊羹はもっちりした羊羹に大きな栗が一体化するように入っていて、秋にしか出合えない希少なお菓子。ゴーフレットは、ジャリッとしたお砂糖の食感が楽しく、誰もが「なにこれ!?おいしい!」と驚くのだとか。
「手土産で大切なのは〝わざわざ感〟だと思うんです。そこに季節感や、個人的な贔屓の思いなんかも加わり、受け取るほうも『私のためにありがとう!』って喜んでくださるんじゃないでしょうか?」
●差し上げ菓子●
上菓司 岬屋 の 竹栗蒸
●普段のおやつ●
パティスリーFOBS の ゴーフレット
肱岡香子/ひじおかきょうこ
雑誌、書籍、テレビ番組など、食卓周りのスタイリングを行う。
料理界きってのスイーツ通として知られる。偏愛するお菓子に
ついて熱く綴った著書『東京てみやげ美人』(講談社)も。
『ku:nel』2019年11月号掲載
写真 砂原 文 / 取材・文 鈴木麻子