ヴィンテージマンション探訪。70年代竣工当時のディテールが今も残ります【住まいの履歴】
各界著名人の気になるお住まいを拝見。これまで住んできた家のお話も合わせてお聞きする「住まいの履歴」。今回はデザイナー・大谷有紀さんのお住まいです。
クラシカルな意匠に お気に入りのアートを重ねて。
クラシックホテルや純喫茶、アンティークなど、古き良きものに心惹かれるという大谷有紀さん。住まいも長年、クラシカルな佇まいのヴィンテージマンションを選び続けています。
「20代半ばに暮らしていたのは、黒川紀章設計のマンション。共用部にある美しい回廊のデザインが特に気に入っていました。結婚を機に夫の住まいへ移りましたが、そこもやはり築古マンションでした。ヴィンテージマンションは少しの不便さもありますが、扉や造作家具の木の質感、共用部のサインなど、細部の設えがやっぱり大好きなんです」
お気に入りの本とアートが並ぶ壁面収納と、『TRUCK FURNITURE』のソファや『イサム・ノグチ』の照明が調和するリビングスペース。
そして、暮らして半年ほどになる現在のマンションも、もれなくヴィンテージ。建て替えが決まっている物件でしたが、あまりに魅力的で、引っ越しを決意。
「広々としたリビングと、日当たりの良さがお気に入り。リビングやキッチン、玄関まで、収納が多いので、暮らしやすく、空間もすっきり整います」
お気に入りの場所のひとつが、やさしいラベンダーの扉が印象的な玄関まわり。ここにもアートが点在。
造り付けの収納を活かしたインテリアにも、大谷さんらしさが漂います。蚤の市で見つけたアンティークや世界の民芸品、レコードプレーヤー、お父様から譲り受けたものなど、古いもののあいだに、知り合いのアーティストの作品がさりげなく並ぶ空間はまるでギャラリーのよう。
造作収納には、心惹かれたアートやアンティーク、古いオーディオなど。大切に受け継がれてきたものたちが、空間にやわらかな彩りを添える
「基本は夫のものとミックスしています。大切にしているのは、色と物量のバランス、そして余白を残すこと。アートは気分に合わせて入れ替えます。学生時代はずっと抽象画を描いてきて、私にとって物を配置することは、空間に色を置くようなイメージ。絵を描く感覚と似ているのかもしれません」
キッチンの食器棚。器選びにも大谷さんらしいエッセンスを感じる。
『NAUT』のダイニングテーブルが置かれた、広々としたダイニング。大谷さんの背後には、天井まで伸びる木製の造作収納が壁一面に設けられ、中央の開口部からキッチンへと続く。