【素敵な人の着こなし術】大人のおしゃれ過渡期は、自分の好きなスタイルをつくり直すチャンスです

年齢を重ねる中で、洋服選びに迷うことはありませんか?そんな大人のファッションの悩みを解決するヒントを、おしゃれな方々に教えていただきます。今回は、株式会社『Soldum』代表・深澤絵さんに、大人スタイルの作り方や、この秋に楽しみたいコーディネートについて伺いました。
目 次
次のおしゃれを楽しむために、自分らしさを再構築
PRやブランディングなどの仕事を通して、さまざまなファッションと出合いながらセンスを磨き、自分のスタイルを築いてきた深澤さん。特にビジネスの場ではTPOを重視し、「この服は間違っていないか、失礼はないか」と、環境に溶け込むことを大事にしてきたと言います。
しかし、年齢と経験を重ねた30代後半からは、「この先どんなファッションで歩んでいきたいか」ということを意識するようになったのだそう。

「次のステージへ向けて、自分が表現したい女性らしさや、“深澤絵といえば……”とイメージしていただけるような世界観を、もう一度つくってみようかなと思っています」
「これまで選んできたアイテムは、デザインがシンプルで、色も黒が多めだったんです。でもこれからは、TPOもわきまえたうえで、硬くなりすぎず、ちょっと“崩し”のある爽やかな印象のものを取り入れてみようかと。私にとって40歳は、これまで好きだったスタイルを一度壊して、今の自分にふさわしい着こなしを再構築するタイミングかなと思います」
抜け感を心地よくまとえる大人のセットアップ

オリジナルテキスタイルと立体裁断で作られた日本発ブランド『AEHRR』のセットアップ。個性的な染めの柄は、別々にも着こなしやすい、洗練された絶妙なデザイン。
ファッション過渡期の深澤さんが、この秋着たい服として選んだのは、『AEHRR』のセットアップ。
「普段セットアップはあまり着ないんですが、ぱっと目について選び出しました。個性と抜け感があるデザインに挑戦したいと思っていた今の気分に、合っていたのかもしれませんね」

有機×モードなデザインは、「今の気分にぴったり。この秋の勝負服になりそうです」
オンオフに使えるしっかりとした素材感と、セットアップにとどまらず、幅広い着こなしが楽しめる汎用性の高さも大人の服選びのポイント。
「派手すぎない、染めのムラが絶妙なんです。着方によってはパンチが出るところもいいですね。イベントなどの立ち合いもよくあるので、ワークウエアとしても活躍。作業着風ですが、動き回ったあとそのまますっと打ち合わせに入れるような、洗練されたデザインが秀逸です」

存在感抜群のパンツは、フロントのボックスプリーツが特長。単体で着用する際にもディテールのこだわりが効きます。

高密度で織り上げたオーガニックコットンのツヤとハリに、表情のある染めのムラが雰囲気を添えます。
学生時代に柔道とハンドボールをやっていたため、「肩が素晴らしくしっかりできているんですよ」と笑う深澤さん。服選びの際は、「肩幅がある」ではなく、「肩幅があっていいね」と言われるようなフォルムを選んでいるのだとか。
「肩を出してウエストは少し締めて、ワイドパンツなどで綺麗なラインをしっかりと出す。全体を逆三角形のバランスで仕上げるのが好きですね」
バランスよく仕上がる厚底靴とアクセサリーの重ね付け

スタイリングを引き締める『CAMPER』のチャンキーソール。「ロックになりすぎず、すごく便利な一足。すぐ履きつぶしそうなので、もう一足買おうかなと思っています」
メリハリのあるスタイルに仕上げたいとき、足元に厚底の靴を置くのが深澤さん流。
「ボリュームのある靴は、ワイドパンツだけでなく華奢なラインのロングワンピースとも相性がいいので、重宝しています。今日のようなパンツスタイルだと靴下はほとんど見えませんが、ポップなカラーがちらっとのぞくと気分が上がるので、差し色はいくつか持っています」

愛用するブランドは『moil』。「ジュエリーボックスの8割を占めているので、見ずに何個か選んでも必ず合うんですよ」。

ピアスには小ぶりのシルバーを選び、すっきりとしたトータルバランスに。
アクセサリーは、「自分のスタイルに合わせやすい」というシルバーが定番。
「リングは常に3~4個着けています。控えめなデザインを重ねて存在感を出すのが好きですね」
時計は単体より、ブレスレットと組み合わせる着け方がお気に入り。
「2つがあたってカチカチ鳴る感じがいいなと。ぶつかるので時計壊れて修理に出したこともあるんですが、気にせず合わせています(笑)」
好きなファッションを素敵に魅せる体づくりが習慣です
コーディネートをバランスよく着こなすため、週3日のボディワークは欠かさないという深澤さん。
「自分の体を鏡で見ると、骨格はここが良くできていて、ここが弱いというのが分かるんですよね。なので、裸の状態をルーティンでチェックしています」

すっとした姿勢になるよう、整った立ち姿を意識。「骨格を理解してスタイリングすることは、やはり大事だと思います」

「ボタンのかけ方と外し方、肩のライン、丈感など、鏡で全身をチェックしているからこそ自分に合うものがわかります」
ありのままの自分の姿を受け入れるのは、なかなか勇気がいることですが、それなくして一日をいい状態でスタートするのは難しいそう。
「たとえば今日のスタイリングでも、ボタンの外し方や袖のまくり方のベストな形は、自分の体を理解していないと見えてこない気がするんです。服を着る前と後を見て、“なにか変だな”“これでいいんだ”と向き合う力が、その日の自信にもつながるんじゃないかなと思いますね」
撮影/園山友基、取材・文/松永加奈