前編「『女性の最強のお守り・女性ホルモン』がゼロになってしまうんです」では更年期と女性ホルモンの関係について、「閉経のホントがわかる本」の著者である美容家の吉川千明さんにお話を伺いました。後編では、ひとりで抱え込まない対策法、心と体が軽くなるヒントをレクチャーします。
吉川千明/よしかわちあき
1959年生まれ。美容家。オーガニックスペシャリスト、メノポーズスペシャリストの肩書きも。90年代より数々のブランドプロデュースに関わり、オーガニックコスメと植物美容を日本に広げたナチュラルビューティの第一人者。産婦人科医の対馬ルリ子さんと健康講座「女性ホルモン塾」も開催。
◾️更年期は体不調だけじゃない、情緒不安、睡眠障害をはじめとするメンタルと情動トラブルも
ーー前編では体の不調についても伺いましたが、心の不調についても教えてください。
吉川:多くの人に現れやすいのがホットフラッシュ、多汗、冷えのぼせといった症状ですが、心の不調に悩む人もいます。更年期の入り口は、集中力がなくなったり、物忘れがひどくなったり、不安感、焦燥感、意欲の低下といった症状が現れることも。原因は女性ホルモンの急激な減少に脳が驚いて追いついていかないことといわれています。
ーーどう対処したらいいのでしょうか。
吉川:物忘れなども出てくると認知症では、と不安になる人もいると思いますが、ホルモンに揺さぶられる時期ならではの、一時的な感情の動きととらえましょう。この時期はストレスに対して敏感になる時期なので、そんなときはまず体を動かしてみる。心の問題を体で解決するのはいい方法だと思います。
ーー寝つきが悪いことも多いようです。
吉川:不眠は更年期女性の半数に自覚症状があるといわれています。寝つきの悪さの解消ポイントは、副交感神経を高めること。ぬるめのお湯に浸かる、疲れない程度の軽いストレッチするなど、副交感神経を優位にして、リラックスすることが大切ですね。
◾️不調の緩和には、漢方、女性ホルモン補充療法なども
ーー漢方薬を試す人は多いのでしょうか。
吉川:漢方薬は昔から更年期症状に使われていますよね。更年期はその人の弱いところが出てくると言われていますが、漢方は症状を緩和し、体力の底上げをするのに最適です。血液の循環や水分の代謝を促すといわれていますが、気の巡りもよくしますので、更年期のメンタル症状の改善にもおすすめです。漢方医学に長けた婦人科ドクターを探してみるといいと思います。健康保険が適用になり、利用率も高まってきています。
ーー気になる人も多いと思います。HRT(ホルモン補充療法)とは?
吉川:足りない女性ホルモンを補う治療法のことです。減ってしまったホルモンを微量補うだけで、更年期の体調の乱飛行をソフトランディングさせることに役立ちます。老化予防になり更年期の不調だけでなく、予防医学の観点からも注目されている治療法です。正しい知識を知ることが大事なので、ドクター任せにせず、まずは自ら理解することが大切ですね。私もHRTを取り入れています。
◾️不調をガマンしないで婦人科の門を叩いてみよう
ーー婦人科はハードルが高いと感じている人も多いようです。
吉川:体や心の不調を抱え込まないで、まずは婦人科に出向いて、ドクターに症状を伝えてみましょう。婦人科のかかりつけ医を見つけることが理想ですよね。
そして何よりお伝えしたいのは、更年期とは? 女性ホルモンとは? 知識を持つことが大事だということ。私が産婦人科医の対馬先生と「女性ホルモン塾®」という講座を始めたのは、正しい知識を身につけてもらいたいから。人生は100年時代、元気に生きるためには、女性ホルモンの知識は必要不可欠なんです、
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「閉経」のホントがわかる本(集英社)
のぼせ、むくみ、ホットフラッシュ、不眠、うつ、イライラ、頭痛、肩こり、尿もれ…、閉経前後のこんな不調について、更年期の不調に日本一悩まされてきた美容家の吉川千明さんと、女性ホルモンを日本一知っている婦人科ドクター対馬ルリ子さんが解説。体と心が軽くなるヒントが隠れています。