イラストレーター辛酸なめ子さんが映画の中で見つけたポジティブな気持ちになれる言葉

活躍中のイラストレーター辛酸なめ子さんが心にしっかと留めていた映画の中の言葉を、描き出してもらいました。視点はユニーク!それぞれの言葉が、またパワーアップして輝き直してくるのも面白い。
前向きになれる言葉で心をほぐす。
\映画『オズの魔法使』より/

『オズの魔法使』
カンザスの農場で暮らすドロシーは愛犬トトとともに竜巻に巻き込まれオズの国に。不思議な同行者たちと出会いながら旅をし辿り着いたエメラルドシティでこの気付きを得る。児童文学を基とする名作は1954年日本公開。
境地に至った登場人物が口にするやさしい言葉に励まされて。
「子どもの頃から繰り返し観ている『オズの魔法使』。この言葉は心のどこかにずっと残っていて、ふとしたきっかけで蘇ります。私も何か欲しいものを遠くに探しに行っているのでは?と振り返ってみるんです」
辛酸さんのようにいつもオープンなマインドがあると、言葉が作品から浮き出るように印象に残るのでしょう。そして大切な言葉も、探しに出るのではなく既に出合ったり、近くにあるのかも……。
「ポジティブな気持ちになれる言葉には自然と引き寄せられます」
\映画『ジェーンとシャルロット』より/

『ジェーンとシャルロット』
シャルロット・ゲンズブールが監督として母ジェーン・バーキンを撮った作品。娘は東京やNY、フランスの別邸などに同行しながら母と改めて対話する。「母娘のぎこちなさが徐々にほどけていく様子にも感動」
学生時代のアイドルだったというシャルロットの映画は公開後真っ先に鑑賞。
「母の本音を引き出したのもすごいし、ジェーンの器の大きさも感じました」
\映画『きっと、うまくいく』より/

『きっと、うまくいく』
理科系エリート大学を舞台にしたインド発の青春喜怒哀楽映画。カリスマ性と確固たる哲学をもつ天才、ランチョーは卒業以来10年行方が知れず、親友たちは彼を探す旅へ。All is wellはインド式英語でAal izz well。
未知だったインド映画のぎっしり感に驚いたのが『きっと、うまくいく』です。
「勇気が出る呪文ばかりでなく『心は愚かものだ』など主人公が達観したように繰り出す重厚な言葉が響きました」
PLOFILE
辛酸なめ子/しんさん・なめこ
セレブ、美容、スピリチュアルな世界……多様な事象を取材、独自の観察眼による画文とし人気。映画にまつわる執筆やイベント登壇なども多い。著書に『辛酸なめ子、スピ旅に出る』(産業編集センター)、『辛酸なめ子の独断! 流行大全』(中公新書)など。
『クウネル』2025年7月号掲載 取材・文/ 原 千香子
SHARE

『クウネル』NO.133掲載
人生を豊かにする「言葉の力」
- 発売日 : 2025年5月20日
- 価格 : 1,080円 (税込)