【映画好きの3本】料理家のコウケンテツさんのどんなときに観ても胸にじーんと!な映画3作品。

その名もズバリ、各界の映画好き著名人がそれぞれの視点でおすすめの映画3本を紹介する「映画好きの3本」。今回は料理家のコウケンテツさんのおすすめをご紹介します。

感動をもらっている完璧な映画。

「単館上映の映画を観ることが多かったころも経て、映画はこうあるべきという勝手な思いを強く持っていました」

90年代から00年代へ、料理家になったころもロケにもDVDプレーヤーを持ち、映画を観ながら寝落ちするのが日課。そんな大の映画好きコウケンテツさんの映画観に転機がきました。

「20年近く前、映画ライターの人と食事する機会があって、映画の話ができるとワクワク意気込んでいた僕は、真っ先に『一番好きな映画は何ですか?』と質問したんです。その答えは『ノッティングヒルの恋人』。正直驚きました。映画通が唸る巨匠の作品やマニアックなインディーズものじゃないんだ。昔、日曜洋画劇場が好きだったころに戻って、純粋に映画を楽しめばいいんだと気づけました。この映画は僕もシンプルに好きで、じーんと感動した映画でした」

1_『ノッティングヒルの恋人』

ロンドン、ノッティングヒルで旅行専門の書店を営むウィリアムはどこか残念なバツイチ男性。その店にある日、ハリウッドの有名女優アナがふらりとやって来ることから始まるロマンティックなストーリー。

監督/ロジャー・ミッシェル 出演/ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラントほか 1999年

U-NEXTで配信中
©1999 Universal Studios - All Rights Reserved

『ノッティングヒルの恋人』はそんな経験にもからんで大切な映画になっているようです。

出合ったときはと言うと「ヒュー・グラント扮する主人公は、気はいいけれどぱっとしない男。当時僕もそういう残念なところがあるとよく言われ、自分を重ねたものです。書店の主人がハリウッド女優と恋?ありえない話なのに、ツッコめない。完全なる映画作品なんだと思います。脇役たちの本質をつく行動や台詞が素晴らしいのにも観る度に感動するし、今も色褪せません。DVDもずっと持っているし、テレビで偶然やっていたら観てしまいますね」。

2_『トイ・ストーリー』シリーズ

旧式なカウボーイ人形のウッディは、少年アンディのおもちゃたちの中でリーダー的な存在。新しく家に来たはやりのおもちゃ、バズ・ライトイヤーに嫉妬を感じるが思い直しはぐれたバズを救いに出る1(写真)から全4作で、来年5が公開予定。

日本語版吹き替え/唐沢寿明 所ジョージほか 1995年〜

ディズニープラスで配信中
© 2024 Disney/Pixar

2本目、コンピュータアニメーションの人気シリーズ『トイ・ストーリー』は、4作すべて好きで繰り返し観ているそう。

「おもちゃというアウトサイダーを描くことで、真ん中の世界を照らしています。文学でいえば坂口安吾とか太宰治、ロシア文学の世界です。チャップリンやSF、ラブコメディ……歴代の名作を合わせたような作品で無駄がありません。おもちゃの視点から始まりおもちゃの概念を飛び出していくんです。おもちゃの友情、自立まで描く!最後は決まって泣かしてもらいます。ピクサースタジオに全幅の信頼をおいていまして、5作目も大期待。唐沢さん所さんコンビが素晴らしいので必ず日本語吹き替えで観ます」

3_『ビッグ』

12歳のジョッシュは移動遊園地にあった願いを叶えてくれるというマシンに「大きくなりたい」と願をかける。翌朝目覚めるとなんと大人の外見になっていた。親友のビリーの協力を得て大人としての生活を成り立たせていくのだが……。

監督/ペニー・マーシャル 出演/トム・ハンクスほか 1988年

ディズニープラスで配信中
© 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation.  All rights reserved.

3本目はやはり有名な『ビッグ』です。

「トム・ハンクスの最高傑作だと思います。〝大人子ども〟というのがはまっていました。この作品は何が特別、というわけでもないけどいつ見てもいい。子どものころ漠然と大人の世界ってどうなってるんだろう、と思ったそれをうまくファンタジーにしてあって。主人公が夢を叶え現実にも直面しながら成長する瞬間に引き寄せられます。切ないけどわかるよ、という終わり方も何とも言えません」

盤石の3作品に限らず、大人向け子ども向けと区切らずに子どもも一緒に映画を観ることが多いというコウ家。

「コメディシーンに引きつけられたりしていても、子どもなりに何か映画が持つ機知を感じ取ってくれていると思っています」

かなり処分はしたものの、DVDは大量に持っているそう。その中から「じーん」な映画の番外編として『キッチン・ストーリー』を紹介。「普通のおじさんがだんだんかわいく見え最後には愛おしくてたまらなくなります」。50年代の北欧が舞台。

PROFILE

コウケンテツ

2006年に料理家として独立。著書、テレビ出演も多数。『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行』(NHK BS 不定期放送)では旅人として100年後に残したい食を訪ねている。

YouTube公式チャンネル@kohkentetsukitchenも大人気。

『クウネル』2025年3月号掲載 写真/須藤敬一、取材・文/原 千香子

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