年末年始に観たいもの。コラムニスト山崎まどかさん推薦!かっこいい大人に出会えるドキュメンタリー1
芯の通った生き方を貫き、今に生きる私たちに多くを伝えてくれる「かっこいい大人」に出会える作品を、ドキュメンタリー通の山崎まどかさんに教えていただきました。
『ダイアン・フォン・ファステンバーグ すべての女性のために』
1947年ベルギー生まれのファッションデザイナー。ブランドの代名詞・ジャージー素材のラップドレスは、自由な女性の象徴として大きな影響を与えました。77歳の現在も第一線で活動しながら、慈善活動にも取り組んでいます。
「1970年代に考案したラップドレスによって、一躍ファッション界の最前線に躍り出たファステンバーグ。実は彼女、正式なファッションの教育は受けていませんでした。スイスのユダヤ人家庭に生まれた少女が、ドイツの貴族と結婚し、自分の道を見つけるまで。ビジネスウーマンとしても、一人の女性としても、彼女は数多くの失敗を経験しています。それを全て糧にして、77歳の現在も第一線で活躍し、女性としての人生を楽しむ姿勢に脱帽です」
『ダイアン・フォン・ファステンバーグ すべての女性のために』
女性を美しく見せるラップドレスのデザイナーとして知られるダイアン・フォン・ファステンバーグ。そのルーツから成功を収めるまでを描いたドキュメンタリー映画。ディズニープラスの「スター」で独占配信中。© 2024 Disney and its related entities
『美と殺戮のすべて』のナン・ゴールディン
1953年アメリカ・ボストンに誕生。サブカルチャーを鮮烈に捉えた作品が高く評価される現代写真家。巨大資本と戦う活動家としても知られており、声を上げ行動し続ける姿は、社会に多くの影響を与え続けています。
「1970年代からアンダーグラウンドシーンや私生活をフィルムにおさめて、写真界のレジェンドになったナン・ゴールディン。小柄だけど、タフな女性で、抑圧的な郊外の家庭を抜け出し、ワイルドな人生を生きてきました。彼女が製薬会社に対して抗議活動を繰り広げる理由は、自身が危険な鎮痛剤を処方されて苦しんだからですが、それだけではありません。エイズで命を落とした数多くの仲間たちや、亡くなった姉のためにも彼女は戦っているのです」
『美と殺戮のすべて』
1970~80年代に活躍した写真家ナン・ゴールディンの半生を描く。第79回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた他、第95回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた作品。U-NEXTで配信中。© 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
PROFILE
山崎まどか/やまざき・まどか
コラムニスト。1970年生まれ、東京都出身。女子文化をキーワードに、映画や文学、音楽など幅広くコラムを執筆。翻訳書に『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』(早川書房)。
『クウネル』2024年11月号掲載 文/山崎まどか、編集/吾妻枝里子
SHARE
『クウネル』NO.129掲載
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