日本のようにマスクをすることが当たり前ではなかったフランス。にわかに始まったマスク習慣を、在パリ5年の松永加奈さんは興味深く見守っています。
これまでフランスでは「マスクをする人=ウイルスを持つ重病人」と考えられていたため、街でマスク姿の人を見ることは皆無でした。うっかりマスクを着けて外出しようものなら、じろじろ見られるか、露骨に嫌がられてしまうので、風邪や花粉症が辛くても、ハンカチを口に当ててひたすらガマン……。
しかし、新型コロナウイルスの感染予防のため、フランス政府がマスク装着を推奨したことで、様子は一変。今は街にマスクを着けた人が行き交っています。
とはいえ「生まれて初めてマスクをする」という人がほとんどのフランス。鼻や口が出ていたり、サングラスのように頭の上にのせたまま歩いていたり…と、本末転倒な人もちらほら。また、スカーフで代用、紐を頭の後ろで結ぶ医療用、工事現場用、コーヒーフィルター型など、形状もさまざまで何でもアリ。最近ではかわいい手作りや、ブランドのオリジナルマスクでコーディネートするファッショニスタも見かけるようになりました。
フランス人にとっては、今がまさに「マスク元年」。この文化がこの先、定着するかどうか、「マスク大国・日本」から来た私には大いに気になるところです。