銀座は家族との思い出の街。あちこちの街で遊んで、食べてをしてきたけれど、いま改めて銀座に惹かれているという小林さん。銀座について綴ったエッセイを自身が撮り下ろした写真とともにお楽しみください。
家族との記憶
一番小さい時の私を
私はどんな風に覚えているんだろうか
日本橋髙島屋の屋上
アルバムの中の私は
姉とお揃いの服を着て お揃いの帽子を被って
アイスクリームを食べている
よそゆきの服を着て デパートの屋上に行く
記憶にはないけど
それが一大イベントだった
「鳥ぎん 銀座本店」
「鳥ぎん」は本当によく行き釜飯を食べた
洋食の「コックドール」
今はもうないけど確か銀座二丁目にあった
バナナくらい大きい餃子の「銀座天龍」は
お相撲さんが入り口にいたはず
「揚子江菜館」の五目そばも大好きだった
もちろん四丁目の「不二家」は 夢の国
「千疋屋」のフルーツサンドも!
銀座が大好きだった
そして 中学になり 銀座にマクドナルドが!
マックシェイクを初めて飲んだ時の あのビックリ!
だって ほっぺたが痛くなるくらい
思いきりストローを吸っても 飲めないくらい
ジャージー? で 生まれて初めての感覚
銀座 三越にマックがあった!
今は昔
あれから 六本木 西麻布 原宿 渋谷……
たくさん 食べて 飲んで
最近は また銀座に帰ってきた
帰巣本能だろうか!?
今 また銀座が 不思議と落ち着く
今一番気に入っている
イタリアンの店で
気の置けない友人たちとランチ
私の大事な人生の先輩であり
ファッションのアドバイザーの布さん
洋服から子供の事まで話は尽きない
開業医の眞理ちゃん
そして この店のオーナーの玲子ちゃん
年齢を重ねると
友達が本当に大切なんだ!と思う
踏み込まず 立ち入らず
大人の距離感を大切に
だけど 困った時は何時でも駆けつけあえる
そんな友人が居てくれることが 私の財産です
衣食住 そして友達
大人になると 人との関係も成熟し
認めあえるようになるのかな?
と 思うこのごろ
小林麻美/こばやしあさみ
高1から雑誌やCMのモデルを始め、高3終盤に「小林麻美」で歌手デビュー。憧れのファッションリーダーとして活躍の後、結婚を機に引退。昨年、25年ぶりに本誌に登場し話題に。以来、連載が大人気。
『ku:nel』2018年3月号掲載
文・写真 小林麻美