生活を新しく変えるためのキッチンを作りたい!という想いでリフォームを決意したというスープ作家の有賀薫さん。完成したのは、食卓・キッチン・仕事場が一体になった、「ミングル」とよばれる全く新しい空間でした。
有賀 薫/ありがかおる
スープ作家。ライター業のかたわら、家族のための毎日のスープづくりを続け、SNS等で評判に。わかりやすいレシピや暮らしの考えが共感を呼ぶ。『朝10分でできるスープ弁当』(マガジンハウス) など著書多数。
有賀薫さんのご自宅で目を引くのは、 ダイニングの中央にあるテーブル。なんとこちらはIHコンロ、小さなシンク、食洗機のキッチン機能つきで、調理から食事、片付けまでができるように作られています。
「息子が独立し、仕事も忙しくなったタイミングでこれからの暮らしを考え、 築20年のマンションをリフォームしました。」
「ミングル」と呼ぶこのコンパクトなキッチンの登場で、食生活も変化。揚げ物や凝った料理は減り、シンプルに焼く、煮るなど「名前のない料理」が主流に。
「ミングルとは英語で混ざるという意味があり、キャンプのような誰も が参加できる楽しいキッチンを考えていたところ、設計士さんがこの言葉を探してくれました。『みんなでグルグル』食卓を囲むイメージもあるかな、と」
仕事も家事もミングルを中心に。必要なものは手を伸ばせば届く位置にあり、調理、食事、 片付けの一連の作業がスムーズに。
「ミングルを通して、料理を面倒で苦痛に思っている人も気軽に楽しめる提案ができたら、と有賀薫さん。
「これからの暮らしにフィットするキッチンとはなんだろう?とずっと考えていました。ミングルはいわばその実験台。IHコンロひとつで十分おいしいものが作れることも発見でした」
香りや音といった料理のライブ感も夫婦で楽しんでいるといいます。 「料理の試作や執筆も全部ここで。夜中にひとりワインを飲みながらブイヨンを引くのも幸せなひととき。いちばん落ち着ける私の居場所です」
写真/玉井俊行 取材・文/小林賢恵 編集/矢沢美香 再編集/久保田千晴