イギリスを代表する現代アーティスト、ダミアン・ハーストによる日本初の大規模個展『ダミアン・ハースト 桜』展が、六本木の国立新美術館でスタートしました。会期は5月23日(月)まで。
2021年にパリで初めて披露された、ダミアン・ハーストの最新シリーズ「桜(Cherry Blossoms)」。会場内に、大きいもので縦5メートル、横7メートルを超える大きなキャンバスに描かれた、満開の桜の木を見ることができます。
ダミアン・ハーストは、30年以上のアーティスト活動にわたり、絵画や彫刻、インスタレーションとさまざまな手法を使い、芸術、宗教、科学、そして生や死といったテーマを深く考察してきました。
本展は、2021年にパリのカルティエ財団現代美術館で開催された展覧会「Cherry Blossoms」の巡回展。「桜」シリーズは、19世紀のポスト印象派や20世紀のアクション・ペインティングといった西洋絵画史の成果を独自に解釈し、豊かな色彩でダイナミックな風景画を完成させました。
日本では意外にも初めての大規模個展。展示室は、全107点の「桜」シリーズのうち、作者が選んだ24点の大型絵画で構成されています。
展示室のなかに入ると、大きなキャンバスに美しい桜の木が広がります。絵の前に立つと、満開の桜に包まれているかのような没入感。桜で視界がいっぱいになり、木の幹からはいきいきとしたパワーを感じます。
作品を眺めているうちに、葉っぱや幹、空の色までそれぞれ表情豊かに描かれていることがよくわかります。
さらに近づいてじっくり見てみると、絵の具のテクスチャに圧倒!ひとつひとつの絵の具の塊から、力強さを感じます。
主に、濃い絵の具の塊を絵筆につけ、キャンバスに投げるような技法で描かれています。絵の具から感じる力強さに深くうなづけます。
個々のキャプションもないので、作品から少し離れて全体で味わったり、近くでじっくり鑑賞したり。桜並木をゆるりと歩くような感覚で、楽しんでみてください。
また、展示室奥には、カルティエ現代美術財団のコーナーも。ここでは、アトリエでの制作風景と制作秘話を含むインタビュー映像を鑑賞できるほか、カルティエ現代美術財団ゆかりのアーティストの書籍を手に取って読むことができます。
また、ミュージアムショップでは、カタログやポストカード、ブックマークなどのオリジナルグッズが購入可能です。ぜひお土産に。
コロナ禍により、近年デジタル上で作品を鑑賞する機会も増えましたが、とくに大きな絵画こそ、直接美術館に足を運んでこの目で鑑賞したいものです。
もうすぐ本格的なお花見シーズンがやってきますが、一足早めに六本木で幻想的な桜の空間をぜひ体感してください!
ダミアン・ハースト 桜
会期:2022年3月2日(水)〜2022年5月23日(月)
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜(ただし5月3日は開館)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
(東京都港区六本木7-22-2)
電:050-5541-8600
Web:https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/
Instagram:@thenationalartcentertokyo
取材・文/阿部里歩