
放送開始から11年目を迎えたNHK・Eテレの番組「100分de名著」。中でも今、クウネル世代に手にとってもらいたい魅力が詰まった名作を、番組プロデューサー秋満吉彦さんと番組MCの安部みちこさんに語っていただきました。
紹介してくれるのは・・・

秋満吉彦さん
同番組プロデューサー。1965年大分県生まれ。熊本大学大学院文学研究科修了後、NHK入局。著書に『行く先はいつも名著が教えてくれる』 (日本実業出版社)。

安部みちこさん
同番組MC。愛媛県生まれ。2000年にNHK入局。幼い頃はホームズや明智小五郎のファン、 現在は夏目漱石や正岡子規など愛媛ゆかりの作家を愛読。2児の母。
今読んでおくべき隠れた名著。
『黒い皮膚・白い仮面』
フランツ・ファノン

名誉フランス人を目指した著者が、同胞の黒人を差別してしまったという痛恨の念から、 差別の問題に鋭く切り込んだ名著。「“ブラック・ライブズ・マター”やジェンダーの問題 に注目が集まる今こそ読むべきだと思いま す」(安部さん)「著者は一般的には無名ながら番組の反響が大きく、世間の関心の高さが伺えました」(秋満さん)
階級社会を暴いた一冊。
『ディスタンクシオン』
ピエール・ブルデュー

下位階級出身の著者が、各家庭で後天的に身に付ける習慣や感覚「ハビトゥス(傾向性)」 が、格差や階級を生み出す要因の一つとなることを解明。20世紀で最も重要な社会学書10冊の一つ。「他者を理解する目線を教わり、 今まで恵まれていた自分は不公平な社会に対して何ができるのかな、と常に考えるようになりました」(安部さん)
後世に読み継がれるべき必読の書。
『夜と霧』
ヴィクトール・E・フランクル

ナチスの強制収容所から奇跡的に生還したユダヤ人心理学者の著書。限界状態での人間の悲惨な姿を冷静に記録しつつ、人間の存在の意味を問い続けた大ベストセラー。新訳本も話題。「『人生の意味を問うてはならない。私たちが人生から問われているのだ』という言葉に衝撃。僕の進路に決定的な影響を与えた 一冊です」(秋満さん)
110冊以上の 名著を紹介してきた 「100分de名著」。
E テレで毎週月曜日 午後 10:25 〜放映中。
伊集院光、安部みちこアナウンサー㈰-1600x1068.jpg)
2011年の東日本大震災直後にスタートしたNHK・Eテレの番組 「100分de名著」。古今東西の“名著”を、25分×4回、100分で読み解いていきます。毎回、斬新な視点で作品を紹介してくれる指南役とMCの伊集院光さん、安部アナとの掛け合いが楽しい。番組テキストとHPも充実。https://www.nhk.or.jp/meicho/
写真 加瀬健太郎 / イラストレーション Anri Yamada / 編集・文 友永文博 / 再編集 久保田千晴