アンティークの器も気負いなく食卓に取り入れる、フランスマダムの食卓。自ら作る器は、田舎で出合う花や蝶、鳥など、自然の色がインスピレーションだといいます。
器デザイナーのマリー・ダージュさんが住むオスマン建築のアパルトマンは、自宅兼スタジオです。 さまざまなフィールドで活躍する友人を招いての食事会をはじめ、マナーセミナーのワークショップ、クチュールメゾンの昼食会なども開催しています。
「テーブルコーディネートは『このお皿を使おう』と始めることもあれば、『黄色のお花をメインに』と決めることもあります。ワードローブから服を選ぶように、まずはメインを決め、あとは好きなものを好きに組み合わせることで、むしろ個性が生まれます」 と、マリーさんは言います。
リモージュのような伝統的な陶器もモダンな絵柄を選び、日々の食卓で日 常的に使っているのだそう。
ご自身のブランドを持ったきっかけはなんだったのでしょう?
「アートの世界で仕事をしていたところ、素晴らしい職人に出会い、自分で絵付けして器を作ってもらったんです。それを、多くの友人が欲しいと言ってくれたことがきっかけです。その後、陶器の街・リモージュで正式に絵付けも習い、生産も可能になり、ブランドがスタートしました」
マリーさんの器は、田舎で出合う花や蝶、鳥など、自然の色がインスピレーション。それらを自分の中で昇華して、毎年色鮮やかな新しいコレクションを発表しています。
「私の器は食だけでなく、キャンドルを灯したり、植物を飾ったりと、暮らしの中を自由に彩ってほしいですね」
マリー・ダージュさん
Marie Daâge/器デザイナー。自身の名前をつけた器のブランドを運営。ギイ・マルタンなど有名シェフとの親交も深く、レストラン什器のコーディネートなども行う。
『ku:nel』2018年11月号掲載
写真 篠あゆみ/コーディネート 石坂紀子/文 今井恵