好きが高じ、いつしかこだわりとなり、ひとつの世界観を作り上げる「定番品」。今回は、世界中から集めたキッチン道具が並ぶ、こだわりの詰まった素敵なパリのお宅を訪ねました。
子供の頃から、オーガニックで地産地消の食生活という両親の元で育ったイネス・ド・ヴィルヌーヴさん。
「おかげで食べることが大好きになりました。そんな環境で育ててくれた両親には、とても感謝しています」
ファッションブランドで14 年間、世界中を飛び回り、出張先ではさまざまな国の食文化にも触れてきました。
「その国ならではの料理を楽しむとともに、キッチン道具を探し、お土産にするのが楽しみでした。人々の生活に根付いた道具にはストーリーがあります。それを集め、その中から私自身が使いやすいものが、キッチンの定番品となりました。たとえばレバノンで買ったコーヒーを淹れる道具。決して便利なものではありませんが、とても美味しいコーヒーを淹れてくれるので、 かれこれ 15 年以上愛用しています」
イネスさんのキッチン周りを見渡すと、手にやさしい木のぬくもりがある ものや、環境にやさしいカゴなど、素朴な味わいのものが目に付きます。
「キッチンで使うものは、心が弾まないと。海外で買ったものは、使っているとその楽しかった時間も蘇ります。 最近は、旅先で見つけたいい食材も、 海外から取り寄せています。最近のグルテンフリーブームなどは、トレンドやファッション性が先に立ち、根本の大切なものを忘れている気がします」
イネス・ド・ ヴィルヌーヴさん
Ines de Villeneuve/レストラン 「 CAFE INEKO 」オーナー。ファッションブランドのバッグ部門の責任者として勤めた後、マレ地区にカフェをオープン。
https://www.facebook.com/pages/ Cafe-INEKO/433923836981689
『ku:nel』2017年9月号掲載
写真 篠あゆみ/コーディネート 石坂紀子/文 今井恵