さまざまな場所に草花を活け、心地よい空間、時間をつくる谷匡子さん。大事なのは、活ける場所に寄り添える花活けをすることだそう。自身の庭は手を加え過ぎず、自然のあるがままを楽しみます。
静かな住宅街を歩いていると、家のアプローチに多種多様な草花が生き生きと並び、ひと際目を引くお宅があります。その家こそ、谷匡子さんの住まいでありアトリエ。
「オーダーを受けお庭をつくったり、お店の植栽をしたりするなかで、どうしても使わない植物が出てしまいます。それらを持ち帰ってはここに並べていたら、こんなにたくさんになりました」。主な仕事は花のスタイリングと空間プロデュース。店舗やギャラリーの空間づくりをディレクションし、植物や花器選びはもちろん、家具の選定から設計にいたるまでに参加します。
「庭づくりで気を付けているのは、その場所や空間に寄り添うようにということ。常緑樹を中心とした、常に青々としたお庭も素敵ですが、私自身は、四季折々で表情の変わる植物に惹かれます。春の花、夏のグリーン、秋の落葉、そして冬の枯れた様子も美しい。移ろう季節に寄り添い、少しずつの変 化を感じられることが幸せなんです」
谷匡子/たにまさこ
「doux.ce(ドゥセ)」主宰。店舗やギャラリーの空間プロデュースや花のレッスン、ブーケのオーダーなどを行う。数年前から岩手にも拠点を構え、草花を自身で育てる活動も。http://doux-ce.com/
『ku:nel』2020年11月号掲載
写真 近藤沙菜 文 / 取材・文 鈴木麻子