【気持ちのいい我が家】緑とかわいいアートに囲まれた心豊かな暮らし。インテリアデザイナー小林恭さん、マナさん/前編
家は住む人を守り、心をなごませる大切な容れ物です。心からのくつろぎを求めて家をつくった人たちに、その住み心地を聞いてみました。今回はインテリアデザイナー小林恭さん、マナさん夫妻です。
借景の緑とかわいいアート、家が気持ちを上げてくれる。
1階にダイニング、キッチンに仕事部屋、2階にリビングやバスルームなどのプライベート空間がある小林さん夫婦の家。この家の特徴はなんといっても、眼前に広がる豊かな緑の景色。東京郊外の大きな公園と境界を接し、まるでその中に住んでいるような素敵な住環境です。
眼前の緑を楽しむためにカーテンもブラインドもなし。正面のガラスケースの中には各国のアート作品が並ぶ。部屋中央の赤い円盤は、なんとスピーカー。高齢の愛猫・マロンも音楽に耳を傾けているような。
「都心のマンションに住んでいたのですが、この家を建てるときにともかく緑が多いところに住みたい、公園のとなりがいいと思って探した土地なんです」と2人は口を揃えます。実は、家は北向きに建っています。南向き、日当たり良好を志向する日本家屋の感覚とは逆をいくのですが、全く気にならないとマナさん。
2階の廊下の突き当りに飾られた絵画は松林誠さんの作品。アンティークの椅子、オーク材のヘリンボーン柄の床とあいまって、ギャラリーのような空間に。
「窓はペアガラスで、断熱にも配慮して設計しました。逆に目の前の木々は南からの光を存分に浴びて、四季折々気持ちいい表情を見せてくれます」
眼前の借景を生かすために、居室の窓にカーテンやブラインドはほぼつけておらず、部屋と公園がひとつながりのような開放感に満ちています。
人気陶芸家・アーティストの鹿児島睦さんの大きな作品が飾られた仕事部屋。個展会場で鹿児島さんがライブペインティングした作品を譲り受けたものだそう。
そして住宅をより楽しく居心地よくしているのが、そこかしこに置かれ、飾られたアート作品や家具の数々。インテリアデザイナーとして多様な仕事にともに取り組んでいる夫婦だけに、作品選び、モノ選びのセンスのよさは言わずもがな。日本の、そして仕事を通じて関係が深い北欧や欧州のさまざまな作品が住宅を個性的に彩ります。
食器のコレクションも多数。1階のダイニングにある食器棚にはガラスの花器、土ものの器などを収納。中央の段の、親から譲り受けた濱田庄司の皿の右側にはピンク色のフィンランドのティーポット、左側には陶器のオブジェが。
「アーティストの個展会場のデザインなどを手がけているうちに、作品を買う楽しみを知りました。私は気持ちを上げてくれる、かわいくて面白い作品が好き。お気に入りのアートを気分や季節で入れ替えるのも楽しいですよ」とマナさん。
1階の中央のコンパクトなキッチン。公園の緑を見ながらだと炊事もはかどりそう。
小林恭さん、マナさん宅の間取り図。
夫婦にとって初めて自ら設計した家。普通は窓を開き居室を作る南側が、ここでは玄関やユーティリティスペースに。目の前が公園だから、愛犬の散歩やウォーキングにさっと出かけられるのもうれしい。
PROFILE
小林恭/こばやし・たかし
インテリアデザイナー 59歳
インテリアデザイン事務所に勤務後、マナさんとともに設計事務所imaを設立。クライアントの世界観を空間で表現する設計を得意とし、店舗や住宅などを幅広く手がける。
小林マナ/こばやし・まな
インテリアデザイナー 59歳
恭さんとともに、設計事務所imaを運営。フィンランドのナショナルブランド『マリメッコ』の店舗デザインなどを手がける。老犬老猫の預かりボランティア活動も。
『クウネル』2026年5月号掲載
写真/木寺紀雄、イラスト/丹下京子、取材・文/船山直子
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