【アクセサリーデザイナー・大人のひとり暮らし/前編】動物のオブジェ、アート作品などで満ちた部屋は「森」のよう
美意識が豊かだから、住むことへのこだわりを大切にするからなど、素敵なひとり暮らしの背景は様々です。やはり自分らしさを守れるかが分かれ道でしょう。人気アクセサリーブランド『マーダーポーレン』の主宰山本亜由美さんのお宅を訪ねました。
森に遊ぶような気分で暮らし働く豊かな空間。
リビングは箪笥類で軽く間仕切りして使いやすく。古道具屋で買ったテーブルでは食事や読書から事務、制作作業まで行う。コーカサス産カーペットはブルー系が個性的。
山本亜由美さんが10年以上暮らしてきた部屋には、圧巻の光景が広がります。使い込まれたアンティークの家具やカーペットが風景の柱をなし、不思議な人形や動物のオブジェ、アート作品、パーツ、食品などが混在。植物はあちこちでワイルドに成長したり、いい具合に朽ちて、空間の陰影は一層深まっているよう。
写真手前、アクセサリーパーツと本・雑誌を収める仕事部屋から奥のリビングへは本棚をくぐるように。友人作の本棚は軽く、引っ越しとなっても扱いが楽。ガーデンテーブルもいい味。気分転換のコーナーに。
「アクセサリー制作の佳境にはパーツをばーっと隣の部屋からリビングまで広げ、いろいろ迷ったり作ったり」と言うように、生活すると同時にここでは自らのブランドの新作を産み出すことにも集中。自然界にモチーフをとる『マーダーポーレン』の根っこや山本さんの考え、浮かべたイメージを住まいが吸収して……。
料理は器選びからが醍醐味ということで器好きで来客も多いため棚も充実! 操り人形や高島大樹さん作の皿、蘭、スミレ、袋紅茶の瓶、ポットなど……。
「展示会で使った後、再利用できるディスプレイや育てられる植物類は持ち帰ります。今見えているインテリアはブランドの歴史も加わっているから、多少濃いめかもしれないですね」
混沌としているようで調和があるのもなるほどです。
昨年秋に亡くなった愛猫・紅子を木彫りにしている途中。展示会ではディスプレイに使う丸太は便利で家でも大活躍。
「それにしてもとにかくものの数が多くなって、最初は置きたくなかったクラフト用のパーツなどまであふれてしまって。森なんですここは、森。でも森の中に工房があると思うだけで楽しい」
毎日が森に迷い込む濃密なひとり暮らしのファンタジー!
壁のように立てた板は5年前にペイントした作品。紅子はここにも。テーブル上、めだかを飼う金魚鉢はインド製の台つき鉢を逆さにした上に。シロクマやツキノワグマも。飴色のテーブル×インダストリアル系のライトがぴったり。
山本亜由美さんの自宅の間取り図。
公園も眺めに入る南向きのマンションは築40年ほど。80平米以上ある3LDKは友人の紹介で偶然出合った。各部屋間口は家具や可動の壁板の位置によって少しずつアレンジ。
PROFILE
山本亜由美/やまもと・あゆみ
『マーダーポーレン』デザイナー
発足26年になる人気アクセサリーブランド『マーダーポーレン』を主宰。松屋銀座や各所でのイベントでも直接、商品やその美意識の世界に触れられる。
『クウネル』2026年5月号掲載
写真/安彦幸枝、取材・文/原 千香子