70代アーティスト片山優子さんの夏のアート旅。話題の『下瀬美術館』と『直島新美術館』へ!

下瀬美術館のテラス

今、アート好きの間で話題の美術館、広島県大竹市の『下瀬美術館』と香川県直島の『直島新美術館』。70代のアーティスト・片山優子さんが「アートの中でアートを観る」をテーマに、その魅力をレポートします。

水に浮かぶように佇む『下瀬美術館』

友人たちとの1泊2日の旅は、ずっと行きたいと思っていた広島県大竹市の美術館へ。2018年から構想が始まり、2023年3月に開館した『下瀬美術館』です。

水盤の上に佇むミラーガラスの建築が、美術館そのものをアートにしています。

姫路駅

今回の旅のスタートは姫路から。『あちゃちゅむ』のしんやまさこさん、色々な事業をされているカオルさんと。

到着すると、想像を超える美しさ。大きなミラーに映り込む景観が、不思議なようでいて、どこか違和感なく溶け込んでいる。不思議さと言葉にできないような感動が静かに広がっていきます。

下瀬美術館の外観

下瀬美術館を知ったきっかけは、ベルサイユ賞で「世界で最も美しい美術館」と称されたこと。設計を手がけたのは、2014年に「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞した建築家・坂茂氏。

(実は、淡路島の友人のアトリエ近くにも、坂氏による『禅坊 靖寧』が凛と佇んでいます)

坂茂設計の下瀬美術館
坂茂設計の下瀬美術館

中に入ると、カフェやミュージアムショップがあります。今回は行かなかったのですが、別棟でレストランやヴィラも。

誘われるように海の方へと向かうと、水盤に浮かんでいるようなカラフルな展示棟が並んでいました。

下瀬美術館

その美しさに、思わず感動!

展示棟は全て可動式で、広島の造船技術を活かし、水盤の浮力を利用して動かせる構造になっています。展示棟の配置は7パターンに組み替えることが可能とのことです。

また、館内でふと目にしたロゴデザインが、自然でありながらとても洗練されていることに気づきました。

下瀬美術館のロゴ

調べてみると、ロゴを手がけたのはグラフィックデザイナーの原研哉氏。それを知って、大きく納得した私です。

瀬戸内海の風景と展示棟のカラーガラスたち。まさしく「アートの中でアートを観る」を感じていました。

下瀬美術館
下瀬美術館

ひとしきり、絶景を堪能して展示棟へ。

下瀬美術館
下瀬美術館
下瀬美術館

棟ごとにキュレーションされた作家の作品を巡りつつ、移動のたびに外の景色も変わっていくのがとても心地よく感じられました。

下瀬美術館

次は、ガレの作品に登場する草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせて植栽された「エミール・ガレの庭」へ。

下瀬美術館のエミール・ガレの庭

暑かったけれど、用意されていたチャーミングなオリジナル傘が嬉しくて、思わず手に取りました。

下瀬美術館のエミール・ガレの庭

気温はどんどん上がり、太陽が肌をじりじりと照らしていましたが、せっかくなので展望テラスへ。

下瀬美術館のテラス
下瀬美術館のテラス
下瀬美術館のエミール・ガレの庭

外を歩いていると、ミラー効果がこれほど楽しいものだったのかと驚きました。とにかくおしゃれで、歩いているだけで楽しい空間。

下瀬美術館のテラス

美術館として作品を楽しめるのはもちろんですが、何よりその土地を大切に思っているからこそ生まれた建物が、風景に溶け込み、美しい景観をつくり出していることをとても素晴らしく感じました。

下瀬美術館

【下瀬美術館での様子】

下瀬美術館
下瀬美術館
下瀬美術館
下瀬美術館
下瀬美術館
下瀬美術館

下瀬美術館を後にして広島市内へ戻り、原爆ドームと原爆資料館にも足を運びました。

娘として、母として、そしてひとりの人間として。身体の隅々にさまざまな痛みを感じながら、今もなお存在し続ける核の現実に向き合い、日本人であることを改めて強く自覚しました。

原爆ドーム
原爆ドーム

安藤忠雄設計。直島に誕生した『直島新美術館』

広島市内に一泊して、翌日はもうひとつの目的地、5月に開館した『直島新美術館』へ。フェリーに乗って、いざ出発です。

直島のフェリー港

下瀬美術館のオリジナル傘があまりにも可愛くて、思わずみんなで買ってしまいました(笑)

直島のフェリー港

直島に新しく誕生した美術館は、安藤忠雄氏による建築。現在は開館記念展示が開催されており、素晴らしいアーティストたちの作品を鑑賞できます。

直島新美術館の外観
直島新美術館

中でも、以前から気になっていた二人のアーティストの作品を観られることを、とても楽しみにしていました。

直島新美術館の蔡國強「ヘッドオン」
直島新美術館

お目当てのアーティストの一人目は、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、蔡國強(ツァイ・グオチャン)。

写真の作品は「ヘッド・オン」。99匹のオオカミが透明な壁に突進する作品です。

直島新美術館の蔡國強「ヘッドオン」

まず99匹の狼が壁に向かってどのように進んでいっているのか?!ということ。写真では見たことがあり、いつか体感してみたいと期待を膨らませていました。

一歩足を踏み入れると、圧巻!心を動かされる感覚は確かにあるもののそれ以上に、圧倒的なビジュアルの力を肌で感じる作品でした。

直島新美術館の蔡國強「ヘッドオン」

本物かと思いきやフェイクだそう。キュレーターさんに伺うと「羊の毛で作られている」と教えてくださいました。

直島新美術館の蔡國強「ヘッドオン」

もう一人は、ロンドンを拠点に活動するアーティスト、ソ・ドホ。

作品「Hub」は以前『金沢21世紀美術館』で観ています。ですが、違う空間で改めて出会うことで、また別の何かを感じたくなった気がします。

直島新美術館のソ・ドホ「Hub」

透け感のある生地の美しい色の変化を作品の中を通り抜けながら楽しみました。

ドアノブや扉、窓枠など細かいところにまでの細工に、驚きと関心を感じるエレガントで美しい作品でした。

直島新美術館のソ・ドホ「Hub」
直島新美術館のソ・ドホ「Hub」
直島新美術館のソ・ドホ「Hub」
直島新美術館のソ・ドホ「Hub」
直島新美術館のソ・ドホ「Hub」
直島新美術館のソ・ドホ「Hub」

駆け足での直島でしたが、まだまだ開発されていく「アートの島」としてのエネルギーをいっぱい感じました。陸続きではないのでフェリーに乗れることも都市に住んでると非日常で楽しみの一つです。

今回も、とても濃厚な真夏の一泊二日の旅になりました。
気心の知れた友人夫婦たちに労わられたり、つっこまれたりしながら、一緒に過ごす楽しい時間がまた少しずつ積み重なっていきます。

美味しいお料理に心が躍ったり、笑い転げてお腹が痛くなる夜のひと時。そんな時間も、旅の大切な思い出です。

70代アーティスト片山優子さんのアート旅。話題の『下瀬美術館』と『直島新美術館』へ!

宿にて。今回は枕投げまでしてしまいました。

「次はどこに行こうかなぁ」

みんなで好き勝手に言いながら、それぞれ思いを巡らせています。

本当に暑かったけれど、子どもの頃のように、大好きな友人たちと好きなことをしていると、不思議とその暑さもあまり気にならなかった気がしています。

70代アーティスト片山優子さんのアート旅。話題の『下瀬美術館』と『直島新美術館』へ!

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片山優子

片山優子

ボタンを用いて、想像を超えるコンテンポラリーアートジュエリーを制作するアーティスト。さまざまな年代と背景のボタンを用い、新たに愛と想いを吹き込むことで力強くも美しい作品を生み出す。CHANEL「ベストサヴォアフェール」にも選ばれた経歴を持ち、国内外でも注目を集めて幅広く活動している。
Instagram:@yuukokatayama

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