注目の女性落語家・桂二葉さんが大切にする言葉。「落ち込んでしんどいときも気の持ちようで……」

人生のどこかで、ふとしたきっかけで出合った忘れられない言葉。勇気を与えてくれたり、心を軽くしてくれたりそれぞれの人が心に留めている大事な言葉を紹介します。新人落語大賞で女性初の大賞を受賞した、落語家・桂二葉さんに伺いました。
桂二葉さんが大切にしている言葉。

師匠の桂米二が毎年春に演じる上方落語の中の言葉です。
長屋の住人で花見に行こうという話になるのですが、貧乏でご馳走もない、肝心のお酒もないのにどうすんねん、と反対する人が出てくる。
そこへリーダー格の一人が「心まで貧乏すなよ」と一言。お酒のかわりは「おけ」。卵焼きに見立てたのは「たくあん」。卵焼きなのにポリポリ音させたら風情がないから、飲み込んで喉がつまる……そんな噺が続きます。
「気で気を養う」とは自分で自分の機嫌をとれ、という意味やと思いますが、落ち込んでしんどいときも気の持ちようでいくらでも楽しくなれる。
ものに溢れている今、こういう情緒こそ心を豊かにすると思うし、工夫して生活を楽しめたらええなと思います。
PROFILE
桂二葉/かつら・によう
落語家 38歳
大阪府生まれ。会社員を経て24歳で桂米二氏に入門。令和3年度NHK新人落語大賞で女性初の大賞を受賞。女性が古典落語を演じることは難しいとされる落語界の定説を覆すべくチャレンジを続ける。
『クウネル』2025年7月号掲載 イラスト/naohiga、取材・文/矢沢美香
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