ドラマ『海に眠るダイヤモンド』で注目!軍艦島など、ディープな長崎2泊3日旅/前編

九州の西端、長崎。20代の頃に旅した時は、教科書に載っていた出島や天主堂を見てまわり、稲佐山からの夜景に感動し、カステラを買って帰った記憶があります。それから数十年。ふたたび訪れた長崎は、知的好奇心をくすぐられ、その当時とはまた違った魅力を感じる街でした。2泊3日の旅は充実そのもの。前後編でたっぷりと紹介します!

まずは、長崎といえば!の有名観光スポットを訪ねました。出島や大浦天主堂、そして今回の旅で初訪した軍艦島(端島)など、長崎観光の“基本”を見学。にぎやかな観光地でありながら、知的好奇心を刺激する学びの場でもありました。

1_洒落たインテリアにうっとりする「出島」

鎖国時代、日本で唯一西欧に開かれた玄関口であった出島。平戸にあったオランダ商館が移転されて以降218年間にわたり、蘭学など西欧からのモノや情報が出島に集まります。幕末に出島の役割は終焉を迎えますが、明治〜昭和〜平成と修復・整備が進み、2022年には国史跡指定100周年を迎えました。

現在は21棟の建物が並び、出島の場内に一歩入ると、19世紀初頭、江戸時代にタイプトリップしたかのような感覚で出島を見て歩くことができます。

出島の商館長カピタンの部屋は必見! この洒落た壁は日本の伝統的な文様をモチーフにした木版刷りの“唐紙”が使われているそう。当時の商館員たちが朝夕の食事をとっていたという食堂をはじめ、いくつもの部屋に様々な文様が使われています。うつくしいインテリアに目を奪われます。

出島場内に並ぶ建物は正面向きと外向きの建物が混在している理由は? など、教科書で習って以来の出島の歴史を復習。

1903年に長崎に在留する外国人と日本人の交流の場として建てられた「旧長崎内外クラブ」。現在は1階が洋食レストラン、2階が居留地時代の展示室になっています。現在の建物は、明治36(1903)年、F.リンガー氏によって建てたれたモダンな英国式明治洋風建築。ここの名物であり、長崎のソウルデザート、ミルクセーキをいただきました。

〈長崎ミルクセーキ〉(700円)はシャーベット状なのでスプーンでいただきます。ミルクのコクがしっかりありながらあっさりしていておいしい!

出島

TEL:095-821-7200
営業時間:8:00〜21:00
無休
公式サイト:https://nagasakidejima.jp
※現在大規模修繕工事中のため、一部の施設に入れないことがございます
※旧長崎内外クラブは2025年1月20日まで休業(予定)

2_信教の自由獲得の歴史を学ぶ「大浦天主堂」

日本のキリスト教の歩みを語るうえでも重要な場所である『大浦天主堂』。その美しい建物は国宝にも指定され、長崎市のシンボルとなっています。2018年に「長崎・天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」がユネスコの世界文化遺産に登録され、この大浦天主堂も含まれています。

16世紀キリスト教の伝来から鎖国〜開国において信教の自由獲得のための歴史を学ぶ、重要な場所。伝道師フランシスコ・ザビエル像や「信徒発見のマリア像」とも呼ばれる聖母子像のある天主堂内は拝観することができる(拝観料1,000円)。写真撮影は禁止されているのでご注意を。

天主堂の裏手に続く階段からの景色もおすすめ。天主堂の建物を間近に見ることができ、漆喰で白く塗られた煉瓦造の壁と瓦屋根の和洋建築であることがよく分かります。

天主堂の敷地内には博物館やギフトショップも。毎日数量限定で販売される〈奇跡のカステラ〉をお土産に。

大浦天主堂

拝観時間:通常(3月〜10月)8:30〜18:00(最終入場は17:30まで)、冬季(11〜2月)8:30〜17:30(最終入場は17:00まで)
拝観料:1,000円
公式サイト:https://oura-church.jp

3_ハローキティとのコラボ企画も!「グラバー園」

1974年の開園から今年50周年を迎えた『グラバー園』。旧グラバー住宅を含む国指定重要文化財は3棟あり、6棟の洋館を移築整備したのが『グラバー園』です。
そもそも、園の名称にもなっている(私の時代は「グラバー邸」と呼んでいた)家主のグラバーさんとは何者なのか?というところから復習スタート。

トーマス・ブレイク・グラバーは、21歳でスコットランドから来日し、修船場の建築や石炭の採掘場開設に携わる「グラバー商会」を設立した人。グラバー園の「旧グラバー住宅」では、グラバー氏と息子の二代にわたって暮らしたそうです。

日本で初めてビールを醸造した出島で資本家を集め、ビールの販売にも尽力((のちのキリンビール)など、グラバー氏の功績が園内で知ることができます。

グラバー園の中で高い場所に建つ「旧三菱第2ドックハウス」のテラスからは、長崎市街を一望。三方が山、一方が海という長崎市の独特な地形も良く分かります。

レトロな洋館の雰囲気が残る『自由亭喫茶室』。長崎は日本西洋料理発祥の地ともいわれ、長崎市生まれの草野丈吉氏が1878年、24歳の時に開業した『自由亭』には、三菱創業者の岩崎弥太郎やジョン万次郎が来店していたそうです。グラバー園にある建物は、長崎市馬町にあった『自由亭』を移築。

グラバー園は50周年を記念してハローキティとコラボ中! 『自由亭喫茶室』の人気スイーツ、アップルパイにハニーバニラアイスをトッピングしたコラボメニュー〈グラバーさんとハローキティのおもてなしプレ―ト〉(1,500円)。

オリジナルグッズもかわいい! トートバッグ(3,500円)、サコッシュ(3,000円)、クリアファイル(400円)、コースター全2種、各600円)、ボールペン&シャーペンセット(700円)、ステッカー(大600円、小500円)。カフェメニューやグッズのほかにもプロジェクションマッピングなどさまざまなコラボ企画が目白押し。2025年3月31日まで。

グラバー園

TEL:095-822-8223
営業時間:8:00〜18:00(最終受付17:40)
公式サイト:https://glover-garden.jp
※開園50周年ハローキティのコラボ企画は2025年3月31日まで
※夜間開園期間中は営業時間が異なります

4_今、見ておくべき!年々姿を変える世界遺産「軍艦島」

長崎を訪れたら絶対に行きたかった場所の一つが、軍艦島(端島)。1850年から約80年間、ピーク時には約5300人が暮らしていましたが、現在は無人島となった孤島です。
この秋にはテレビドラマもスタートしたことで気になっている方も多いのでは。ドラマと並行しながら、ぜひご一読を。

時代とともに風化したコンクリートジャングル「軍艦島」。島の風貌にも目を奪われますが、2015年「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界文化遺産に登録されてからは、さらに注目度が高まっています。

軍艦島には、クルーズ船に乗り上陸できるツアーがあります。ただし、当日の気候や潮位など、さまざまな条件をクリアした時のみ、船長の許可によって上陸が許されます。

私もクルーズ船に乗り上陸チャレンジ!「軍艦島上陸ツアー」は、午前と午後の1日2便。

が、この日は船長判断によって上陸は叶わず。できる限り島に近寄ってくれた後は島をぐるりと一周。建物のところどころが崩落していたりと、船上からでも確認することができました。

船上から見た鬼気迫る光景。現存する日本最古の鉄筋コンクリート造の団地“30号棟”は1916年築。島に残る建物は、老朽化や気象の影響などで年々姿を変えつつあるそうです。

ここに暮らした人たちの目的は、“黒いダイヤ”と呼ばれた石炭の採掘。炭鉱夫とその家族など約5300人が暮らし、最盛期の昭和35(1960)年には1ヘクタール1400人以上——東京都の約9倍、世界一の人口密度だったそう。特殊な環境にありながら、一家に一台テレビを備え、生活必需品はなんでもあったというそのポテンシャルの高さは一体どうして——。
軍艦島デジタルミュージアム』では、「端島炭鉱」時代の島での暮らしから通称「軍艦島」と呼ばれるようになった現在までのアーカイブをデジタル空間で体験しながら学ぶことができます。個人的には、クルーズツアーでのリアル軍艦島も迫力がありましたが、このデジタルミュージアムでは当時の様子もよく分かり、おすすめです。

全長30メートルのスクリーンに3000枚の写真が次々に投影されるプロジェクションマッピング、採掘現場に降りていくエレベーターやトロッコに乗って坑道を進んでいく擬似体験など、体感モノが盛りだくさん!

プロジェクションマッピングでは、数字やデータを使った解説もあるため、学びが多く、より理解が深まります。ちなみに、炭鉱現場の坑道の深さは海底に向かって606メートルの深さまであったといい、スカイツリーの高さに匹敵。

「軍艦島立ち入り禁止区域」に仮想上陸できるVRは、思わず声を上げながら大興奮。クルーズで島に上陸できなくても、このVRで十分な気すらしたほどの迫力。
わくわくしながら軍艦島を学ぶことができるデジタルミュージアム、素晴らしい!

軍艦島デジタルミュージアム

住:長崎県長崎市松が枝町5-6
TEL:095-895-5000
営業時間:9:00〜17:00(最終入場16:30)
不定休
公式サイト:https://www.gunkanjima-museum.jp

軍艦島コンシェルジュ(軍艦島上陸ツアー予約)
https://www.gunkanjima-concierge.com
乗船料金(平日・大人): 5,000円(デジタルミュージアム見学付き)

取材・文 神保亜紀子

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