「人生もいろいろなことを経験し抜くことで素敵な人に」島田順子さん×雨宮塔子さん対談/後編

これから先、どう歩いていけばいい? そのヒントを求めて島田順子さんを、同じパリに暮らす「後輩世代」雨宮塔子さんが訪問。人生が楽しくなる先輩たちの言葉をお届けします。

「行き当たりばったりでも意外に素敵なものが生まれることも」島田順子さん×雨宮塔子さん対談/前編からの続きです。

 

冒険や好奇心は生きる上で、すごく大事なこと

パリ在住四半世紀の雨宮塔子さん。今日は共通点の多い先輩の島田順子さんの仕事場を訪ねて、年を重ねても豊かに生きる術をいろいろと伺います。

島田順子さん(以下、島田)

幼少期に素敵だと思ったことのひとつが海外のメンズファッション。何でもないのになぜ素敵なのかなって。外国人だからというわけではなくて、得体の知れない何か。もうひとつはおばあさんがちょっと着崩していても品があるという謎。永遠のクエスチョンです。

雨宮塔子さん(以下、雨宮)

私もフランスに惹かれた理由はそういうところです。はっきりとはいえなくて、言葉にするのはとても難しいんですが、その秘密が知りたかった。

島田

着物を着こなせている高齢の人や中年の女性って素敵に見えるでしょう。あれだと思うんです。やっぱり徹底的に着ること。人生もいろいろなことを経験して経験して経験し抜くことで、素敵な人ができていくんじゃないかしら。

雨宮

なるほど。見よう見真似でできるものではないんですね。

島田

私だって年を重ねたからようやく少しはできてきたのかもしれません。

雨宮

フランスに来て、何ひとつ無駄なことはなさそうです。

島田

あなたもそうでしょう。日本から来るとエトランジェ(外国人)だから気取らずに、そのままでいられますから。

雨宮

先輩からそう伺うと嬉しくなります。さっきお話しした得体の知れないものって、順子さんは何だと思いますか?

島田

永遠にわからないから成長していけるんでしょう。得体の知れたものをつかんだら、それ以上成長しない。わからないから好奇心がわくし学びたい。もうずっと勉強ですよ。冒険や好奇心は生きる上ではすごく大事なこと。それが自分に積み重なっていくから、人生は面白い。

雨宮

そうした経験の積み重ねがあるから、今輝いていらっしゃるのですね。

コンコルド広場やフォーブル=サントノレ通りなど、有名観光地に近い順子さんの仕事場。

仕事場は中庭を挟んで奥にあり、通りに面している側はブティックになっています。

2024-25年秋冬のムードボード。アトリエではスタッフがコレクション準備に追われて。

対談を終えて。

あのナチュラルさやスタイルを貫く姿勢、本音でお話しされるところはフランス人っぽくてとてもかっこよくて。一方で、日本女性の粋なところもお持ちで、根の部分はやはり日本人。そのいい具合のミックス感に憧れます。フランスに染まりすぎて日本人らしさを投げ出しているような女性もいますが、そういう人は憧れの対象にはなりません。フランスの得体の知れないものに惹かれる感じも、とても共感しました。あの特有のつかみどころのない魅力を、年齢を重ねても追求し続けているのが素敵です。私もその得体の知れない魅力が好きで、 20年以上住んでずっと探り続けています。だから、そうしていてもこんなに素敵な女性になれるんだと、肯定してもらえた気がしてとても嬉しく思いました。(雨宮さん談)

PROFILE

島田順子/しまだ・じゅんこ

千葉県館山生まれ。1981年JUNKO SHIMADA DESIGN STUDIOを設立。2024-25年秋冬でコレクション発表が86回目に。『島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密』(マガジンハウス)など著書多数。

雨宮塔子/あめみや・とうこ

1970年東京都出身。TBSに入社し情報番組などで活躍。退社後は単身パリへ渡る。2016年から『NEWS23』のキャスターを務めたのち再びパリを拠点に。9月26日に『MY HOME, MY LIFE.』(光文社)を発売。

『クウネル』2024年11月号掲載 写真/山下郁夫、ヘア/出来和枝(雨宮さん)、コーディネート/鈴木ひろこ、取材・文/綿貫あかね、編集/黒澤弥生


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『クウネル』NO.129掲載

素敵に年を重ねるためにしたいこと、やめること

  • 発売日 : 2024年9月20日
  • 価格 : 1000円 (税込)

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