日仏の結婚事情。情熱的なフランス人×クールな日本人カップルのちょうどいい関係
個を尊重するフランスと、和を大切にする日本。国際結婚だからよかったこと、大変なこと。 文化や言語の違いを乗り越えて結婚した日仏カップル3組に、話を伺いました。今回は、デザインスタジオ「キュリオシティ」代表のグエナエル・ニコラさんとマネージメントを担当する宮元玲子さん。
目 次
仕事や子育ての価値観が一緒。国籍よりフィーリングが大切
取材で訪れたご自宅は、世界的に活躍するデザイナー グエナエル・ニコラさんのこだわりを詰め込んだ、ギャラリーのような美しい空間。夫婦で設立したデザインスタジオ『キュリオシティ』では、妻の宮元玲子さんが「マイボス」と微笑みます。
2人の交際は、知人の出版パーティで玲子さんに一目惚れした、ニコラさんの熱烈なアプローチで始まりました。「玲子ちゃんはクールで名刺もくれなかったので、他の人に彼女の名刺を見せてもらい会社に電話しました」(ニコラさん)
「覚えていますか?昨日会った外国人です」との第一声に、長い沈黙で答えたという玲子さん。当初は戸惑ったものの、何度か会ううちに、仕事を愛し、情熱的なニコラさんの人柄に惹かれていったのだそう。
交際がスタートしたのは1992年。その前年に来日したニコラさんは、いずれフランスに帰国するつもりだったとか。玲子さんとの出会いが東京を拠点にする決定打となり、5年の交際を経て結婚。翌年に夫妻でデザインスタジオを設立します。仕事も暮らしもずっと一緒なのはどうですか?と尋ねてみると、「大好きな人と1日中一緒にいられて最高。幸せです」(ニコラさん)。
対して玲子さんは「それぞれの役割が違うので、ぶつかることはありません。どちらの親も自営業で仕事に対するスタンスが似ていることもあり、国籍は関係なく相性がいいのかもしれません」とあくまでクール。カルチャーギャップはほとんどないけど、日々の愛情表現をクールにかわす玲子さんに、ニコラさんはややご不満のよう。
仕事も優先順位が明確で、やりたいことを形にしていく。尊敬がベースにあるので、うまくいくのかもしれません。
現在22歳と18歳の2人の娘はそれぞれの意思でパリに留学中。週末も休まず、時には朝まで仕事をしてそのまま飛行機で出張。そんな働き方をしてきたニコラさんと、24時間営業のような会社を切り盛りしてきた玲子さん。情熱的に仕事をする両親の姿を見せることで、娘たちは自然にやりたいことを見つけ、自立していったと言います。
「うちは子どもが家を出ても関係ない。子どもは子ども、夫婦は夫婦。娘は大好きだけど、大切なのは玲子ちゃんの幸せ」(ニコラさん)
「ここまではっきりしているのは、フランス人だからというより彼の個性。仕事も優先順位が明確で、やりたいことを形にしていく。尊敬がベースにあるので、うまくいくのかもしれません」(玲子さん)
年末年始には夫婦で10日間のニュージーランド旅行を楽しんだという2人。
「当初娘たちが帰国しないと言うので旅行を決めたら、やっぱり帰国したいと連絡が。もう決めちゃったよと宣言して、2人で旅を楽しみました。リタイヤしたらこんな感じなのかなと、未来像が少し見えました」(玲子さん)
玲子さんに5つの質問
Q 夫がフランス人で良かったことは?
A バカンスをしっかりとることでしょうか。
Q 文化の違いで戸惑ったことは?
A 言わなくても分かるでしょ(日本)と言わないと分からないでしょ(フランス)。
Q 国際結婚に迷いはなかった?
A 全然ありませんでした。
Q けんかはする?主な原因は?
A ほぼしません。
Q 仲直りの方法は?
A 夫はけんかが嫌いなので険悪な空気になるとすぐに謝ってきます。
PROFILE
宮元玲子/みやもと・れいこ
広告代理店でマーケティング職を務めた後、結婚後は夫と共同で設立したデザインスタジオ「キュリオシティ」でマネジメント業務全般を担当。
グエナエル・ニコラ/Gwénaël Nicolas
フランス出身のインテリア/プロダクトデザイナー。「キュリオシティ」代表。東京を拠点に世界中で様々なプロジェクトを手がけている。
『クウネル』2024年9月号掲載 写真/目黒智子、 取材・文/吾妻枝里子
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