作家・甘糟りり子さん、海の家でのサマーパーティに向けてZARAやcosでコーディネート
作家の甘糟りり子さんのおしゃれと美容にまつわるエッセイ。50代では、少しモチベーションが下がり気味だったおしゃれと美容ですが、今一度がっつり向き合ってみようとリスタート。(→参照:そろそろ、いや再びおしゃれと美容に向き合おうと決意した作家・甘糟りり子さんがときめいた買い物)
いまの自分に最適なおしゃれと美容を模索する様を綴ります。今回は夏の終わりに海の家で開かれるサマーパーティーでのコーディネートについてのエッセイです。
「還暦パーティーしない?」の誘いが…
「夏はただの季節ではない。心の状態だ」
片岡義男さんの『彼のオートバイ 彼女の島』の帯のコピーですが、私、久しぶりにそんな「心の状態」を実感しております。2024の夏。
この春に還暦を迎えてしまいました。「年齢はただの数字」とか、「六〇代、意外と楽しいよ!」「ここからが人生の本番」等々、諸先輩方からいろいろな言葉をいただきましたが、やっぱり「あ〜あ、ついにきちゃったか〜」という気分は捨てきれず。そんな時、幼馴染たちから「還暦祝いのパーティーしない?」という連絡がきて、近所の小料理屋でミーティングに集まったのでした。なんでも、8月の終わりに海の家を貸し切ってのサマーパーティーの計画をしているとのこと。何をするかを話し合っている時、ビールやワインを飲み過ぎていたせいか、私、つい「80年代のディスコ音楽でわいわいやろうよ。私、音楽を流す係やるからさ!」と豪語してしまったのです。忘れていたパリピの血が騒いじゃって。
ビビりながらもディスコに足を運んでいた十代の頃、選曲でその場を沸かすDJに憧れてました。当時は DJといったら男性の仕事でしたけれどもね(その辺りのことは拙著『バブル、盆に返らず』に書きましたので、よかったら)。憧れてはいたものの、ほとんど経験がないので(1回だけ西麻布でやりました)、会社勤めの傍ら DJ活動をしている年下の友人たちに機材やソフトのこと、準備や心構えなどいろいろ教えてもらいながら日々特訓中です。初心者向けのコントローラーも買っちゃいました。音楽流す係ですからね。
さて、何を着よう?
その友人から練習中に聞かれました。
「リリコさん、どんなファッションでプレイする予定ですか?」
「んー、あんまり目立ちたくないからシンプルなTシャツでいいや」
「そんなのダメですよ! その日はあくまでも演者。スタッフみたいな格好じゃお客さんも盛り上がらないじゃないですか」
なるほど。それはそうかも。まずはこちらがノリノリに楽しんでいるところを見せないと、お客様もノレないもんね。もう覚悟を決めました。この夏は、常に心の状態を「夏」にして、浮き足だって過ごそうと。年甲斐もない若作りを貫きますよ。だって演者だもん。ちなみに私の DJ名は DJ BUBBLEです。
ファッショニスタの友達とグランドハイアットの「ホワイトパーティー」に行った時にも、還暦のサマーパーティ・ファッションはいかなるものかを相談してみました。すると、思い切って肌を露出した方がいい、アクセサリーは大ぶりで派手なものを(なんだったら貸すからね、とも)、海の家ならリゾートっぽく華やかなスカーフを頭に巻くのもあり、といったお答え。エレガントを取り入れた、DJ離れした格好が大人らしいのでは、ともアドバイスを受けました。
まあ海の家ですし夏ですし夜ですからね、多少の贅肉は気にせず、布の面積を小さくしちゃいましょう。
こんな時、まずチェックするのはなんといっても『ZARA』ですよね。恐らくこの日しか着ないであろう露出度の高い服を探すのですから、予算は低め設定です。『ZARA』のサイトでチューブトップのブラック、ホワイトを大人買い。還暦だからといって赤を着るのは気分ではないので、いたしません。普段は二の腕出すのも気が引けるのに、この日ばかりは肩まで丸出しです。夏だから。海の家だから。演者だから。
白いチューブトップ×白いパンツ、白いチューブトップ×黒いパンツ、黒いチューブトップ×黒いパンツのいずれかのスタイルを、アクセサリーでパリピに演出をしたいと思っております。
パリピ時代のアクセサリーを掘り出して
タンスをひっくり返したみたら(うちは文字通り、クローゼットとかではなくてタンスなんです。笑)、まあ出てくるわ、パーティー向けのアクセサリーが。パリピ引退の際にかなり処分したつもりだったのですが、まだまだありました。
『ドルチェ&ガッバーナ』のチョーカーなんて三つもとってありました。「LOVE」という英文字を金で模ったチョーカー、スワロススキーがびっしりの太いチョーカー、紫色のスパンコールのチョーカー。かつてはパーティーといったら『ドルチェ&ガッバーナ』か『ヴェルサーチ』でしたからね。ノーブランドでは、黒いスパンコールのタイ、それぞれベージュ、黒のリボンに飾りがたくさん付いたノーブランドのチョーカーなんかもサルベージュされました。今でも時々身につけるティファニーのパールのロングネックレスもはなやかです。とはいえ、ヘッドフォンをつけなくちゃいけないから、首元は軽めにしておかないと、などとあれこれ思案しております。
仕上げのヘアは『エルメス』のスカーフを巻く?
髪型をどうするかは悩むところ。潮風の中ですからセットしてもすぐに崩れちゃうので、一つにまとめるのもいいかもしれません。フェイスラインさえ気にしなければね(笑)。まとめる場合は、結び目を黒いリボンで縛って、長く垂らすつもりです。もしくはリゾートっぽく頭にスカーフを巻くのも捨てがたい。還暦ですからスカーフはエルメス一択。こういうところは大人っぽくね。タンスからは『ドルチェ&ガッバーナ』のアニマル柄をスパンコールでかたどった大きなヘアバンドも出てきて、これもディスコっぽいのですが、さすがに暑そうです。
こんなふうにスパンコールのアクセサリーを選んだり、選曲のために爆音でディスコ・ミュージックをかけたりしていると、毎晩のようにディスコに行っていた自分に戻ったような錯覚を起こしてしまいます。もう還暦だっていうのに。
「カマクラニアン・60thサマーパーティ」は8月24日土曜。入場料をお支払いいただけばどなたでも入れますので、よかったらお運びください。その代わり、「心は真夏」のままノリノリでお願いします!
Instagramのアカウント→kamakura_nian_824。
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この記事の
プレミアムメンバー
甘糟りり子
1964年生まれ。幼少より草花に囲まれた鎌倉の家に暮らす。『産まなくても、産めなくても』、『産む、産まない、産めない』(ともに講談社文庫)など、出産にまつわる物語が多くの女性の支持を得ている。『鎌倉の家』(河出書房新社)や『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)などでは、鎌倉での暮らしの魅力と愛情を綴っている。その他著書として『バブル、盆に返らず』(光文社)も。
Instagram:@ririkong