いまだ、コロナ自粛の中にありつつも「GO TO」キャンペーンが東京でも始まり、旅への思いも高まっていますね。在パリの〈クウネル・サロン〉プレミアム・メンバーの松永加奈さんも、南仏へとプチバカンスへ出かけたそうです。パリとは全く違う雰囲気の南仏ルポ、お楽しみください。
すっかり寒くなり、秋が短いパリはもう冬の気配。どんよりとした空を眺めながら、8月の夏真っ盛りに訪れた、南仏の景色に思いを馳せています。
今年は一時帰国もままならず、かといって他国へ行くのも難しい状況。さらに夫も多忙だったので、夏の旅行は諦めていました……。が!日本へ帰れないストレス(?)から「魚が食べたい(できれば生魚)」「海が見たい」という思いが募りに募って、パリから電車で南へ3時間半の小さな港町・セートへ小旅行に出かけました。
南部が地中海に面したセートは、フランス有数のマグロ漁港。さらに湖では牡蠣やムール貝の養殖が盛んで、名物はタコ料理というから、シーフード好きにはたまりません。場内マルシェにはずらりと魚屋が並び、パリではお目にかかれないような魚介がいっぱい!マルシェカゴを提げ、朝からマグロや生牡蠣を買い、地元の人に混ざって活気ある港町の雰囲気を楽しみました。
町の中心から北へ歩いて20分ほどいくと、趣ががらりと変わり、湖を有する静かな漁村が現れます。湖岸では洗濯物がはためき、のんびり釣りをする人も。ご挨拶して私もその横に座り、ぼーっと時を過ごしました。その湖と、町と、南に広がる地中海を一望できる、サン・クレール山の展望台は、セートの人気スポット。うっかり炎天下を歩いて登ってしまい、途中で何度も心が折れましたが、汗だくで辿り着いた頂上からのパノラマは格別。但し、しばらく膝が笑って動けませんでしたが…。
海辺に生きる人々から感じる逞しさや、ちょっと雑多で賑やかな空気感は、パリでは決して味わえないもの。陽射しをたっぷりと浴び、念願の生魚も海も堪能して、また1つ、フランスの小さな町の魅力を知ることができた2020年の夏でした。