蚤の市で見つけた家具に囲まれて。フランス流のセンスが光る部屋づくりのコツ【後編】
古いものを大切にしながら、完璧は目指さないのがフランス流。でも個性的で素敵な部屋が生まれる理由は、“好き”という気持ちにとことんこだわるから。今回は、蚤の市めぐりで集めたインテリアに囲まれて暮らす、日本人ご夫婦の素敵なアパルトマンを訪問。後編です。
PROFILE
唐川良子/からかわよしこ
山口県出身。22歳で画家の夫と共に渡仏。専業主婦として家庭を支え、33歳で長女を出産。子育てがひと段落した40歳に旅行関連の仕事を始め、現在はリタイア。
蚤の市で見つけた家具に囲まれて
部屋を飾るインテリアはほとんどがアンティーク。
「パリに来て2軒目に住んだ家が、ヴァンヴの蚤の市に近いマラコフだったので、毎週のように散歩がてらふたりで蚤の市に通っていたんです」
家具を選ぶのは、もっぱら夫の武紀さんだとか。
「家具は夫の好みのものが多いですね。画家という性格上、色とか形には厳しく、テーブルなどは静物の題材になるので、自分が気に入ったものを選びたいようです。蚤の市で少しずつ集めてきた家具や器が、少しずつこの家のインテリアを作り上げてきました」
アトリエの暖炉の前にあるコーヒーテーブルを始め、リビングルームに置いたソファなど、この家にある家具は武紀さんの絵のあちこちに登場しているそうです。ただアンティークだけで重い印象にならないよう、エスニックな小物をミックスしたり、自分たちらしく調えることは忘れません。
そして暖炉の上や壁に、素敵な陶器がたくさん!これは武紀さんのコレクションであるブルターニュの陶器、カンペール焼きのお皿や花瓶などの数々。
「ヴァンヴの蚤の市で見つけて『かわいいね』と買い始めたのをきっかけにコレクションが増えました。一時はブームで値段が高騰し、今や古いものはほとんど見つけられなくなりました」
花瓶、茶碗、砂糖ポットなど、いくつものカンペール焼きが棚の奥にも眠っていて「数は数えられない」ほどだとか。
「たまに器が好きな友だちにプレゼントすることもあります。もちろん和食器やスペインの器などと共に、毎日の食卓でも活躍しています」
パリの我が家で楽しむ、夫婦ふたりの静かな生活。そこに加わったのが猫のチメオくん。
「もともとは娘の家で飼っていた猫なんですが、赤ちゃんが生まれたことで猫がストレスを感じるようになってしまったらしく、我が家に引き取りました。もともと犬やうさぎを飼っていたこともあり、私が動物好きなんです」
唐川さんが一番落ちつくというダイニングテーブルに座り、夫と会話を交えながらテレビを見たり、朝昼晩の食事やお茶、アペロを楽しむ日々。その時間が何よりだといいます。
「今の暮らし、そしてこの家がとても気に入っています。娘の家族が田舎に家を持っているので、自然が恋しくなると、そこに遊びに行っています」
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『クウネル』No.122掲載
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