スタイリストchizuさんの高知旅【後編】 豊かな食文化に触れる・食べる!「街路市」めぐり
高知の観光で外せないのが、通りにたくさんのテントが並ぶ高知市の「街路市」。観光客にも人気の「日曜市」は有名ですが、高知市が「市のまち」といわれるように、火曜・木曜、金曜、土曜…と、毎日のようにどこかで市が立っているのです。
前編に続き、スタイリストchizuさんが、高知の風物詩である「街路市」を、日をわたって巡りました。「新鮮な農作物や加工品を生産者から直接お話を聞きながら買うことができるのって、とてもわくわくします。今回はできるだけ見てまわりたいです」(chizuさん)。
新鮮な野菜からいも菓子まで。 約350店の規模に圧倒される「日曜市」
高知県の街路市で一番有名なのが、毎週日曜に開かれる「日曜市」。歴史は長く、江戸期の1690年、土佐藩のお殿様によって制定されたのが市のはじまりだとか。
日本最大級とも言われる規模の日曜市は、高知城の追手門からまっすぐ伸びる追手筋(大通り)に、約1kmにわたって約350店が並びます。
朝10時。通りは新鮮な野菜や果物を買い求める客であふれています。もしや、出遅れた…!? お店の方に聞くと、遅くとも朝8時頃には開店の支度は済んでいるそうで、地元の人ほど早い時間にいらっしゃるとか。
それでも、さすが日本一の街路市。ぎっしりと並んだ店には、トマト、葉野菜、根菜、柑橘など、高知特産の新鮮な食材がずらりと並び、軒先をカラフルに彩っています。
圧倒的に多いのは生鮮食料品。その中に、ポン菓子、冷やし飴、実演販売のいも天など、高知のローカルフードも勢揃い。食べ歩きしながら、通りをずんずん進みます。
一軒一軒、商品を見ては店主との会話が弾むchizuさん。
「知らない野菜を見つけたので『これはどうやっていただくの?』と聞くでしょ。そうすると、答えが二倍にも三倍にも、五倍にもなって返ってくる(笑)。生産者さんが直接販売しているから、おいしいものの見極め方とか、調理の方法とか、たっぷり教えてくれる。生産者さんならではの知恵を聞けるのが、とても楽しいですね」
地元民の生活を垣間見る、 「火曜市」の魅力
路面電車が走る大通りから一つ南に入った通りに並ぶ火曜市。幅2mほどの水路に戸板を渡し、その上にテントを張って出店するスタイルは、昔から変わらないのだとか。
日曜市に比べると規模もかなり小さく、出店は約20店ほどですが、その風情ある佇まいは必見です。
賑やかな日曜市に比べると、ひっそりとしていて時の流れがゆるやか。売っているものは、野菜や果物のほか、手作りのお菓子やこんにゃく、パック詰めの田舎寿司や惣菜、切り花などで、自転車でやってきて「いつもの」を買っていかれる地元民が多く見られます。
「私がおもちを買っていると、自転車でスッといらっしゃった方が、店主と言葉を交わさずともお品物を受け取って、またスッと帰っていかれた。お互いの馴染みの深さというか、いつものやりとりなんでしょう。火曜市はそういったシーンが際立っていましたね。顔の見えているお客さんのために立っている市なんだなと。
だからといって、私のような観光客にもすごく親切。一つ質問すれば、二つ三つ返ってくるのは、世話好きな高知のお人柄なのでしょうね。
火曜市を体験すると、私も、ここの馴染みの客になりたいなぁって思っちゃいました」(chizuさん)
ランチの調達もOK。 好立地の「木曜市」
県庁前交差点を目印に、南へと伸びる「木曜市」。県庁や市役所、オフィスが立ち並ぶ立地で開催されるため、お昼の買い出しに利用する人も多く見られます。日曜市で出店するお店も何軒か並ぶので、日曜市に次ぐ人気を誇ります。
「街路市は、いつかしっかり見てみたいと思っていたので今回は良い機会でした。
日曜市は規模が大きいですが、火曜市、木曜市を見ると、土佐の風物詩としてだけでなく、地域住民のための市だということがよく分かります。高知市には、ほかにも金曜市、オーガニックの土曜市もあるらしいので、近いうちに行って、高知の街路市をコンプリートしたいと思っています(笑)。
どこのお店も、とにかくものがきれいに並べてありますよね。親子二代、三代と、場所を守りながらお店をやり続けている方たちにとっては当たり前の仕事なのでしょうが、長年やり続けてきたことの表れだと思います。さらに土佐人の懐っこさが相まってお店の風情になっている。他の街の市場と比べても、完成度の高さは群を抜いていると思います。
特に火曜市は、店幅2メートルくらいの小さなテントから醸し出す風情が沁み入りましたね。また、あそこのおもちが食べたい、あそこのおじちゃんに会いたいって思うんです」(chizuさん)