5月1日はすずらんの日。この日フランス中にすずらんの花が溢れます
パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。4月は荻野さんが、フランスのお花屋さん事情をご紹介します。
四季があいまいなフランスでは花屋のディスプレイで春を感じます
4月も中旬を過ぎてようやく、フランスにも春が来た!と言えるような暖かさになりました。今年は本当に冬が長かった印象で、お天気が良くても、冷たい風の吹く日がずっと続いていました。冬のおしゃれも好きですが、コートはさすがに着飽きた感があったので、やっと身軽になれてうれしいです。
日本ほど四季の変わり目がはっきりしていないフランスで、私が一番強く春を感じられるのは、街やマルシェのお花屋さんが一気に華やかになるとき。街を歩いていて、遠くにぼんやりとミモザや水仙のイエローが見えると、そこだけまるで陽の光が当たっているようで、春が来たなぁとうれしくなります。チューリップもこの時期たくさん見かけます。赤やピンク、白で縁取られたような色合いのものや、花びらの形が丸かったり尖っていたり、くしゅくしゅになっていたりと色んな種類がずらりと並びます。
フランスの花屋はディスプレイがとにかく自由!
フランスのお花屋さんを見るたびに、いいなぁと思うのは、とにかくディスプレイが自由なところ!黒いプラスチックのバケツやホーローのお鍋に、花をばさっと入れていたり、台の上に束ねていない花をガンガン積み上げていたり。そして値段が書かれたパネルをぶすりと刺しているのも定番です。これほどまでに無造作なのに、なぜか調和が取れていて、その美しさに思わず足を止めてしまうから不思議です。自由・平等・博愛をうたうフランスですが、こんなところにまで隠しきれない自由さが表れていて微笑ましく感じます。
フランス中がすずらんで溢れる5月1日
そして、すずらんも、フランスで春の訪れを感じさせてくれる花のひとつ。5月1日の祝日には、家族や大切な人たちに、すずらんの花を贈り合う習慣があります。この日に限って、一般人も路上ですずらんを売ることが許可されているので、お花屋さんだけでなく、街角に即席のすずらん売りが並んで、1日中とても幸せな気持ちに包まれます。
文/荻野雅代
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プレミアムメンバー
トリコロル・パリ
荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/