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書籍『いぬ』ショーン・タンの表紙

本に囲まれて暮らす読書好きな方々が、今年刊行された書籍の中で最も心に響いたおすすめの1冊をピックアップ。それぞれの作品の魅力を語っていただきました。今の時代を写しとった文芸作品から、生き方や想いに共感した本、学びのための本まで。新たな出合いのきっかけに、ぜひ手にとってみてください。

犬と人間の物語。動物と暮らす、すべての人に

書籍『<a href=
いぬ』ショーン・タン 訳/岸本佐知子
物語集『内なる町から来た話』に収録された1篇「いぬ」を絵本化。犬と人間の深いつながりを丁寧に描く。1,980円(河出書房新社)

代表作『アライバル』をはじめ、独特な世界観を描くショーン・タンの絵本はいつも仄暗くて少し不気味で、この世の普遍の深淵を覗くような気持ちになります。でも、この絵本がいつもの不気味要素が比較的少なめなのは、犬と人との関係を描いているからかと思われます。しかし、そこはショーン・タン。犬と私たち人間との関係を喝破するかのような切なさ悲しさの詰まった絵に震撼とさせられ、最後のあまりにも何気なく、そしてあたたかな一枚で涙腺が崩壊します。

犬の寿命は人間よりも短く、私たち人間はどんなに長く彼らと一緒に暮らしていたくても、先立たれる辛さ悲しさを覚悟しなければなりません。私もヤギと暮らしていますが、犬だけでなく動物と暮らしている人や、暮らしたことのあるすべての人に、この絵本を手にとってもらいたいです。

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