本に囲まれて暮らす読書好きな方々が、今年刊行された書籍の中で最も心に響いたおすすめの1冊をピックアップ。それぞれの作品の魅力を語っていただきました。今の時代を写しとった文芸作品から、生き方や想いに共感した本、学びのための本まで。新たな出合いのきっかけに、ぜひ手にとってみてください。
宮崎美子/みやざきよしこ
女優
1980年に『週刊朝日』の表紙を飾り、以来ドラマなどで活躍。YouTube「『宮崎美子よしよし。』ちゃんねる」では本の紹介も。漢字検定1級。
江戸を徘徊する〝アレ〟とSNSの恐ろしさよ!
私と同世代の偉大な作家・宮部みゆきさんの作品はいつも楽しみ。「三島屋シリーズ」がドラマ化されたときに出演したこともあって思い入れがあります。物語に登場する江戸時代の人たちは、現代人と同じように悩みや苦しみをもっていて、すんなりと共感できます。また、時代物なのに、なんと死体で歩き回る〝アレ〟が登場するんですよ!時代物に苦手意識がある方や、〝アレ〟好きな方におすすめ。
もう1冊は浅倉秋成さんの最新作。SNSの炎上って、私たち世代には縁遠いかもと思っていましたが、違います!主人公の男性は50代、女子大生殺害犯として炎上します。『俺ではない炎上』というタイトルは、主人公にかかる言葉であり、SNSの投稿にリツイートするなど、何らかのリアクションをしても、自分は関係ないと考える人にかかるようにも感じます。でも、本当に関係ないのでしょうか?自分の立場や、まわりからどう見られているのかを気にする人に、おすすめしたいです。
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