静岡・沼津で暮らしの道具の店『hal(ハル)』を営む後藤由紀子さん。50代ならではの装い、台所の工夫、人付き合いのコツなど、暮らしにまつわるさまざまなことを紹介した著書を多数出版しています。日々の生活から生まれるアイデアや気づきは素直で等身大。多くのファンの心をつかんでいます。
そんな後藤さんの暮らしのエッセイをお届けします。
■長年、苦戦していた「くせ毛」を解消してくれたのは……。
今回はヘアケアやコスメのお話を。
先月、仕事で京都に行きました。市内で友人とバス停でバスを待っていたとき、ふと目に留まったが、つげ櫛やかんざしなどの専門店『十三や』さんでした。
先輩のおしゃれ上手さんが愛用していることもあり名前は知っていたのですが、そのときはお値段的に手が届かず購入には至りませんでした。
これもなにかのご縁……と思って店内にお邪魔すると、種類も価格もさまざまで、「これ」というひとつを見つけて持ち帰ることにしました。
遡れば、くせ毛とは小学生のころからのお付き合い。
年齢を重ねて、パサつき、ごわごわ、うねり……などが加わり、髪に関する悩みは尽きなかった私ですが、この櫛で梳かすと、それが驚くほどなくなったのです。まるで魔法みたい!
前出の先輩からつげ櫛は椿オイルでお手入れをするといいと聞いていたので椿オイルも購入。櫛だけでなく髪につけてもいい感じなので、最近は椿オイル+つげ櫛でお手入れするのが楽しみです。
昔から使われてきたものは、やっぱりいい。最近、着付けを習い始めたこともあり、ブラシよりも櫛で梳かすほうが背筋もシャンとするような、気持ちよさがあります。
それ以来、暇さえあれば髪を梳かしています。もちろん、毎日外出時は忘れず鞄に忍び込ませています。
■美容とはまったく縁のなかった私ですが、少しずつ学んでいます。
ヘア繋がりでスキンケアやメイクのこともご紹介したいと思います。
昔から、女性誌のメイクページと占いのページをすっ飛ばしてきてしまった人生でした。
若いときはいいけれど、年齢を重ねてくるとナチュラルだけでは乗り越えられません。メイクの技術も知識もないゆえ、いざ必要になったときに手立てが分からないといったありさまです(ちなみに、私より娘のほうがメイクはずっとずっと上手です・笑)。
そんなとき、 カラーリストの方に見ていただく機会があり、私は「ブルーベース」とのこと。自分ではイエローベースだと思っていたので、それまではベージュのアイカラーなどを使っていましたが、黄ぐすみしてしまうことを教えてもらいました。
また、別のお仕事絡みで「オルビス」さんのメイクレッスンを受けさせてもらいました。その際、私は目の幅が広いらしく、アイシャドーはまぶたのかなり上のほうまで塗ったほうがいいこと、アイシャドーのノリを良くしてなじませるにはチップが最適ということも教えてもらいました。
50歳を過ぎてメイクの「いろは」を学ぶとは、少し恥ずかしい気持ちもありますが、いくつになっても身ぎれいでいることは大切なこと。
同世代とも、美容のことで盛り上がることが増えました。といっても、私はそこまでエネルギーは使えないけれど、アンテナを張ったり知識として知っておいたりはしたいなと思いました。
ただ、表情や顔つきが素敵な人を見ると、お化粧だけでは作れない何かがあるなとも感じます。その人特有のたたずまいや、内面から醸し出されるものは、一朝一夕では成せないものでしょう。
最低限のメイクのスキルは身につけつつ、大人の女性としての内面磨きにも精を出したいと思います。