眼鏡は単なる視力矯正ツールではなく、今や大事なファッションアイテムの一つ。様々な色や形がある中で、自分らしく眼鏡のおしゃれを楽しむ3名の方たちに、選ぶときのこだわり、使い方のコツをうかがいました。
■ 矢野トシコさん
眼鏡もファッションも、ポップでカジュアルがいい。
矢野トシコ/やのとしこ(71歳・ヘアメイクアップアーティスト)
長年、ヘアメイクの第一線で活躍、女優や著名人から高い支持を受ける。着物好きとしても知られ、茶道歴は30年以上になる。自宅に茶室をしつらえたほどの熱心さ。
ネイビーのニットに、『マルニ』の華やかなスカート、70代とはとても思えないピッと伸びた手足に背筋。矢野トシコさんのそんなスタイルに、ちょっとパープルがかった眼鏡がしっくりとお似合いです。「ファッションがポップでカジュアル志向だし、眼鏡も同じ。マダムっぽいものは似合わないのよね」
若いころから眼鏡は生活の一部。何十個も作り、使い続けてきて思うのは「長時間かけるものだから、楽で、ちゃんとフィットしていることが大切」ということ。眼鏡をシワ隠し、アイメイク代わりにかける人も多いけれど、「そこに横着して、頼りすぎてはだめ」とはベテランのメイクのプロからのアドバイスです。
■ 樋田直子さん
シニアグラスだって、サングラス感覚で選んでみて。
樋田直子/といだなおこ(56歳・スタイリスト)
スタイリストとして広告、雑誌で活躍中。自宅には、各所に5つのシニアグラスがスタンバイ。『アーレム』は「グローブスペックス」にて購入。http://www.globespecs.co.jp
「もう『超』がつく老眼なんですよ。45歳くらいから急速に進んで」と樋田直子さん。職業柄、「ザ・老眼鏡」といったデザインのものには抵抗感があったそう。でもいろいろ調べたら、例外はあるけれど、気に入っているサングラスや眼鏡のフレームに老眼レンズを合わせることは可能、と判明。
で、さっそく作ったのが上の写真の、明るいピンクの『シャネル』のフレームの老眼鏡でした。「ご自分の好みのスタイルで、おしゃれな老眼鏡にしたほうが、若々しく見えると思いますし、気持ちも上がっておすすめです」
■ 富田みのりさん
眼鏡も髪型も年々、面白いのが好きになってきて。
富田みのり/とみたみのり
(55歳・『RIG』デザイナー)肌に優しいオーガニックコットン素材を使ったアンダーウエア、リラックスウエアのブランド『RIG』をデザイン、ディレクションする。http://rig-rig.com/
太めのはっきりしたフレームが好み。
パキッとした前髪と刈り上げた襟足が印象的な富田みのりさん。眼鏡も自由に、自分らしいものを選んで組み合わせています。
「肌が浅黒いので、フレームは存在感のあるもののほうが、私には合っていると思います。ちょっと太くて、はっきりしたものですね。髪型も眼鏡も年々、とにかく面白いものが好きになっています」(富田さん)
アンティークの柄シャツやシルクのブラウスに、自身のブランド『RIG』のインナーの色を効かせて、そこに好みの眼鏡を自由にコーディネート。近眼と老眼の兼ね合いでレンズ選びはいろいろと難しいけれど、存在感のあるフレームが富田さんの個性にしっくりはまっています。
写真/柳原久子、取材・文 /船山直子、再編集/久保田千晴