丁寧な手仕事を施したインドのファブリックに囲まれて暮らす、素敵なパリのデザイナー。日々の暮らしに欠かせない「布使い」を見せていただきました。
最近、自身のファッションブランド「 Sentô 」のショップをオープンしたソフィ・エスコジドさん。「 20年前から仕事でインドに行くようになり、その布地の美しさに目覚めました。今ではインドのファブリックが、私の定番と言えるでしょう」
最初は、アンティークのサリーの美しさに惹かれたことがきっかけだといいます。
「サリーは女性が結婚する時に、家族が縫い上げてプレゼントしてくれるものです。どの家庭もその後使わないままのサリーを、リサイクルしないのはもったいないと思ったんです」
多少破けていたり、色褪せていても、どの生地にも家族のストーリーや想いが秘められているのがサリーの魅力です。
「眠っていた、忘れ去られていた生地を蘇らせる作業は素晴らしいの一言。 何十年もファッションに関わっていて、あらためて気づいたことです」 と話すソフィさんのお宅を見渡せば、部屋の中はインドのファブリックに埋め尽くされています。
「グランドピアノにかけた布はインドのサリー。ソファのクッションはモチ刺繍などで有名なグジャラートで見つけたもの。インドではアンティークだけでなく、ブロックプリントや織り生地などていねいな手作業の技術も素晴らしい。訪れるたびに宝探しの気分。 何千枚もの中から、100枚の素晴らしい布に出合うのが喜びなのです」
ソフィ・ エスコジドさん
Sophie Escojido/デザイナー。ファッションブランドのデザイナーとして活躍しながら、数年前からオリジナル作品を作るようになり、「 Sentô 」のショップをオ ープン。
http://sento.fr/
『ku:nel』2017年9月号掲載
写真 篠あゆみ/コーディネート 石坂紀子/文 今井恵