【5月】調香師・大沢さとりさんが綴る「お菓子と花の小さな歳時記」

大沢さとりさんの歳時記

パフューマーとして世界的に活躍するクウネル・サロン プレミアムメンバーの大沢さとりさんは、茶道・華道の世界にも精通し、自身のInstagramに季節のお菓子とお茶で愉しむひとときをアップしています。豊かな四季の移ろいや、日本の美を映しだす愛らしいお菓子の一部、ご紹介します。

別名「皐月」と呼ばれる5月は、気温もぐんぐん上昇し、端午の節句(立夏)を迎えれば暦の上では初夏になります。この時季の代表的なお菓子といえば、柏の葉が香る柏餅と粽(ちまき)ですね。粽は元々中国から渡来したもので、中国では5月5日に粽を作り、親戚や知人に配るという習わしがあり、邪気を祓う伝統的なお菓子として今に伝わっているのだそう。大沢さんもこの粽をいただくと、5月の到来をしみじみ実感するそうです。

1『鍵善良房』の甘露竹

大沢さとりさんの歳時記
切りそろえた青竹に水羊羹を詰めて、笹で筒の口を包んだ『鍵善良房』 の甘露竹 。京都・祇園の老舗和菓子店がつくる季節限定の逸品として広く知られる。「初夏ほどに気温が上がる日は、冷たいお菓子が舌に心地よく感じますね」

店名:鍵善良房 四条本店
住所:京都市東山区祇園町北側264番

2『小布施堂』の栗落雁

大沢さとりさんの歳時記
赤えんどうの粉を練り、型にはめて乾燥させた干菓子である 『小布施堂』の栗落雁
香ばしさとまろやかな風味が、一枚の中に込められていて「長期保存ができて携帯に便利、もちろん抹茶にもよく合う我が家の常備菓子です」

店名:小布施堂
住所:長野県小布施町 808

3『明治屋』で買った黄身しぐれ

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スーパーマーケット『明治屋 広尾ストアー』で買った黄身しぐれ。 表面の亀裂が時雨(しぐれ)るときの空の様子に似ていることが名の由来で、ふんわりした素朴な甘みが楽しめる。 「抹茶はホタルが描かれた涼しげなガラス茶碗を合わせました」

店名:明治屋 広尾ストアー
住所:東京都渋谷区広尾5-6-6 広尾プラザ1F
※黄身しぐれは明治屋のオリジナル商品ではありません

4『麻布青野総本店』のあれこれ

大沢さとりさんの歳時記
立春から数えて88日目にあたる「八十八夜」 にいただくのは、同じく『麻布青野総本店』の粽。 「笹の葉でくるんだこの細長い粽は、四季のお菓子の中でもこの時季しか頂けないイメージが強いですね。鯉のぼりが描かれた茶碗は母が作ったものです」
大沢さとりさんの歳時記
二十四節気の小満 (しょうまん)である5月21日は『麻布青野総本店』の青梅。小満とは、万物が成長して天地に満ち始め、草木が徐々に繁ることを表す時期のこと。
大沢さとりさんの歳時記
『麻布青野』のバラの練り切りとガラスの抹茶椀。「5月は、街のあちこちで見頃を迎えた美しいバラが楽しめますね」
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麻布青野総本舗
住:東京都港区六本木3-15-21

※お菓子は、過去に大沢さんが記録してきたものをご紹介しています。また、季節限定の商品も多いため、現在の販売状況については、各店舗にご確認ください。


~ささやかな幸せを噛みしめながら~

海外へ旅行することも、大勢の友人と集うことも難しい昨今ですが、こんなご時世だからこそ、気付けたことも多かったという大沢さん。
「じつはこの一年、仕事でもプライベートでも神経を使ってきたせいか、今年の春先、心のエネルギーが枯渇してしまったんです。そこで、5月の連休はしっかり休暇を取って、近所のホテルの庭園を久しぶりに散歩しました。そうしているうちにひたひたと心が潤い、生きていられることへの幸せを実感しました。Instagramに載せている『朝の一服』もそうですが、身近な草花から四季を感じ取ったり、近所のカフェで甘いものをいただきながら本を読んだり、自分の足元にある小さな幸福に気付いてエネルギーをもらう、そんな春でした」

小雨のなか傘をさし、誰もいない静かな庭園を歩く
大沢さとりさん_植物
ホテルの庭園に咲いていた花しょうぶ
大沢さとりさん_植物
大沢さんの自宅のバラ。「心待ちにしていた開花でした。ステム(茎)は短いですが、とっても嬉しかったですね」
大沢さとりさん_植物
咲いたバラはアトリエに持参しオルガンの前に。「この景色を見ていたら、よしまた頑張ろうという新たな気持ちになりました」
散歩中に急遽飛び込んだお気に入りのカフェ『スプラウトカフェ桜坂』。「温かいお紅茶とチョコレートケーキで、狐の嫁入り(お天気雨)が過ぎるのを楽しみました」
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大沢さとりさん_植物
毎朝、アトリエに通う途中の公園にたくさん咲いているというテイカカズラ。「六本木は意外と緑が多くて、四季折々で通勤の目を楽しませてくれるんです。坂に沿って咲いているこのテイカカズラは、ジャスミンに似た香りがあって癒されます」

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この記事の
プレミアムメンバー

大沢さとり

香水ブランド「パルファンサトリ」のオーナーパフューマー。香水の製作・販売や香りのプロデュースを行う。自身が備えている植物の知識に、華道、茶道、香道からのインスピレーションが取り入れられた、独創的で多彩なオリジナル香水は、世界的にも評価が高い。
https://parfum-satori.com/
Instagram : @parfumsatori_official

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