〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの井手しのぶさん。建築デザインを仕事としてきましたが、自分のためにも家を建て続け、なんとその数は7軒。いまの住まいを訪ねました。
建築デザインのプロとして活躍する井手しのぶさんが、仕事の傍ら 、ライフワークのように建ててきた数々の自宅。その集大成ともいうべき現在の家は、2年前に鎌倉材木座の高台に建てた広い庭の小さな平屋です。
「静かでよく眠れるし、とても住みやすいです。ここを人生最後の家にしたいです」というお気に入りの家。
そのキッチンは、限られたスペースにちょうど収まる優秀なシステムキッチンとオーダーメイドの引き出し収納で、ミニマムな快適空間を実現しました。
「食洗器を置くスペースがないのでシンクを広くとりたかったし、調味料、鍋など要所要所に収納できて、なんの不満もないですね。コンパクトだから無駄な動きをすることなく、振り向くと皿、冷蔵庫。洗って、切って、焼いてという一連の流れもシンプルにできて、すごく便利。望み通りのキッチンに、本当に満足しています!」
朝、豆を挽いてコーヒーを入れることから始まり、帰宅したらまずは食前酒を片手に、夕食の準備をする場所。そして、キッチンからつながるリビングスペースのソファに移動し、季節が移ろう庭の日が暮れていく景色を眺めながら過ごす、夕食のひととき。それが「何物にも代えがたい幸せな時間」だといいます。自分好みの設えで自分のための料理をつくれる快適なキッチンが、井手さんの毎日のパワーをチャージする場所になっているようです。
井手しのぶ/いでしのぶ
建築、店舗開発、リノベーション、造園を手がける「パパスホーム」代表として長年活躍。20年のキャリアを生かし、現在は
「Atelier23.」を主宰。
『ku:nel』2018年7月号掲載
写真 柳原久子 / 取材・文 黒澤弥生