フランスの結婚事情。18歳年上の女性がパートナー「彼女がいつか仕事を辞めたら僕が面倒を」

25歳の年齢差があるフランス大統領夫妻が登場してから、フランスでは女性が年上のカップルが年々増えていると言われています。年齢差を乗り越えて結婚した夫妻に、恋愛観・結婚観を聞きました。18歳年上の女性と結婚したフランス男性の本音「彼女のお陰で同年代の友人より豊かな経験を積める」からの続きです。

同じ価値観を共有しながら、仕事も人生も二人三脚で。

店内の家具もヴィンテージ。すべてブロカントや蚤の市で探した。「自宅のインテリアも同じようにヴィンテージの家具ばかり」(シルヴィさん)。

映画や音楽などで、ジェネレーションギャップを感じることはないのでしょうか。「特にありません。私が聴く音楽は彼も聴きますし、まったくないと言ってもいいですね」(シルヴィさん)

育った環境に共通点が多いのも、うまくいったポイント。アマナイさんはモロッコ生まれ。フランス語が堪能な父の意思でフランス系の学校に通い、1999年に進学のため渡仏。一方シルヴィさんはフランス生まれだが、フランス人の父がカサブランカへ駐在をした際、モロッコ人の母と出会い結婚したのだそう。「フランスとモロッコ、2つの文化の間で育ったからか価値観が合う。信頼感、誠実さなど、今まで出会ったフランス人の男性にはないものを感じました。実は彼に初めて会った時、20年前に亡くした母のことを思い出しました。彼は私の故郷のような存在です」(シルヴィさん)

レディースのショップにて。隣にメンズ、子ども服のショップもある。ホームページやEコマースの管理など、デジタル系の仕事はアマナイさんが担当。

けんかはしますか?と聞いてみると「よくしますよ。けんかをしないカップルはいないんじゃないかしら? 仕事の話をしていると、いつしか笑いながら仲直りしています。私たちは2人とも仕事が好き。そこはとても大事ですね」(シルヴィさん)

店内のカフェコーナーで休憩。

2人の人生の共通の目的は仕事。時間を捧げ、情熱を持って働くことに誇りを持ち、努力を厭いません。「人生を好きな仕事に捧げることは素晴らしい、と私たちは考えます。私が小さい頃や、彼も通ったモロッコのフランス人学校で同じような教育を受け、真面目に勉強をすることや規則を守ること、先生に敬意を払うことを学びました。今の学校は起立して先生に挨拶することもなく、先生が話していても私語を慎まないとか。若いスタッフが規則に沿って働くのが苦手、というのも納得」(シルヴィさん)

帽子のコーナー。「母親が生きた1950~60年代の洋服は特にシックでエレガント。自分のブランドの洋服をデザインする際の着想源です」(シルヴィさん)。

平日は朝9時に出勤し、勤務時間は閉店の20時まで。休日は早起きしてヴィンテージクローズの買い付け。バカンス先でも買い付け、と常に休みなしで仕事中心の生活。「この仕事が大好きだし、できるだけ長く働きたい。自営業なので引退も自由に決められますし、いざとなったら孫が助けてくれるかな」(シルヴィさん)「僕も命が続く限り働きたい。そしてシルヴィが将来、疲れて仕事を辞める決心をしたら、僕が彼女の面倒を見ます。それが結婚というものだから」(アマナイさん)

現在、2人はシルヴィさんの実家があるフランス西部の海辺の町、ル・クロワジックに姉妹店を開く準備中。二人三脚で仕事を切り開いていく、2人の今後が楽しみでなりません。

PROFILE

シルヴィ・シャティニエ/Sylvie Chateigner

フランス生まれ。1994年、パリ近郊にヴィンテージショップ『THANX GOD I’M A V.I.P.』を開店。同名のパーティオーガナイザーとして著名に。『Maison Chateigner』のデザイナーでもある。

アマナイ・ナス/Amnaye Nhas

モロッコ生まれ。1999年、17歳でパリに留学。DJ活動をしている際にシルヴィと出会い、2009年に結婚。2008年にはパリ10区に新店舗を共に立ち上げる。https://thanxgod.com/

『クウネル』2024年9月号掲載 写真/篠 あゆみ、取材・文/木戸美由紀、編集/吾妻枝里子

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『クウネル』NO.128掲載

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