とろりとした白、優雅なカーブのハンドル、どこかいびつな丸い形。 ひとつひとつが愛おしく、テーブルが華やぐ不思議な器です。今回はテーブルかを華やかにしてくれるアスティエ・ド・ヴィラットの陶器の魅力をお届けします。
心の奥底の懐かしさを表現する器なんです
世界44カ国で販売されるアスティエ・ド・ヴィラット。「1996年、 僕らは国立の美術学校を出たばかりの、 何か新しいことがやりたいと考える集団でした」。そう当時を思い出すイヴァンさん。
「僕たちに共通していたのは“古いもの に惹かれている”ってこと。全員がア ートや装飾美術の歴史に夢中で、時代 は工業デザインが全盛でも、自分たちは画家、彫刻家、建築家であって、デ ザイナーではありませんでした」
当時はコルビュジエなどの影響もあり、デザインはシンプルで機能的とい う考えが強く、アスティエが美しいと 思ういびつさや不完全さを、世間は良いものと認めていなかったのです。 「学校でも散々イノベーション、過去より未来を見るべきと教えられていた んだけど、僕らは“忘れ去られている オブジェ”に惹かれていたんです。だからといって、目指しているものはアンティークではないんです。アンティ ークに、この白い色は存在しない。僕らのデザインは“人々の記憶の根底のどこかにある”。だからこそ、懐かしく魅力的に感じてくれるのではないかな」
そして最後にイヴァンさんからこんな素敵な言葉をいただいた。「日本にはヨーロッパと違い、昔から 器をミックスして使うカルチャーが存在しています。だから何もアドバイスすることはありません。これからもアスティエを、いろんな器とミックスして使ってほしい。それが僕らが望んでいる、最高の使い方なんです」
アスティエの型抜き技法
あこがれのパリのショップへ
SHOP DATE
St HONORÉ店
住:173, Rue Saint-Honoré 75001 Paris
最寄りの駅:パレロワイヤル駅、ピラミッド駅、 チュイルリー駅
TOURNON店
住:16, Rue de Tournon 75006 Paris
最寄りの駅:マビヨン駅、オデオン駅
PROFILE
左 イヴァン・ペリコリ
右 ブノワ・アスティエ・ヴィラット
パリ出身のイヴァンとローマ出身のブノワは、パリ国立美術学校(エコール・ デ・ボザール)で出会い、絵画や彫刻 などを勉強した。1996年に「アステ ィエ・ド・ヴィラット」を創業。
『ku:nel』2018年11月号掲載
写真 Yas / コーディネート石坂紀子 / 文 今井 恵