引田かおりさんの新刊『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)が話題です。惹かれるのは、潔よく、示唆に富んだタイトル。長らく家族を優先して暮らし、自己肯定感に乏しかったという引田さんが、「NO」という練習を重ね、自分自身の「好き」を優先した先にみつけた気持ちよさについて、紹介してまいります。シリーズの最後には引田かおりさんのインタビューも。
▼【気持ちのいい人生を歩く練習1】愛犬の死を乗り越えて。「すべての不幸の源は、執着なのかも?」
からの続きです。
「自分のことはたいていあとまわしだった」という、家族第一主義の30代だったという引田かおりさん。
自己肯定感を高め、幸せになるためには、「自分が自分を大切にしないと」と気づき、まずやろうと思ったことは「NO」という練習。
「″どっちでもいい″と選択を自分以外の人にゆだねたままでは、自分の人生を生きられない」と思ったのだと振り返ります。
「世の中は誰かのおすすめ商品であふれていますが、それらはあくまで参考に。ものを選ぶときは自分の感性や暮らしにしっくりくるかどうか」。「なんでもいい」「とりあえず」などとものを選ぶことはせず、ひとつひとつのものに責任をもって選びます。毎日の物選びも、気持ちよく生きるための練習です。
頼れるブランド品で 何気ないおしゃれを
ふと触れたブラウスがシルクだったり、お預かりしたコートがふわりと軽いカシミアだったりすると、その方のさりげないおしゃれに、本当に嬉しくなります。自分の宣伝を声高にしない人ほど、すごい仕事をしてきた達人だったりしませんか。そういうことと「何気ないおしゃれ」には、共通点があると思っています。ごくシンプルなデザインなのに、素材やカッティングがいいもの。そういうものを買い足していきたい今日この頃です。
アクセサリーは、小さなモチーフが好みです。「ヴァン クリーフ&アーペル」の「アルハンブラ」の赤いブレスレットは、還暦の誕生日のリクエスト。小さくてもキラリと光る輝きはさすがです。
渋くキラキラ光るものも大好き。子どもの頃に、ときどき覗いた大人たちの引き出し。そこにはたくさんのキラキラが 詰まっていて、ワクワクしたのを覚えています。「ティファニー」の「ビーン」は、ギャラリーの名前とそら豆つながりです(フェブはフランス語で「そら豆」の意)。世代的にも「ティファニー」は憧れの特別なブランドでしたから、誕生日や結婚記念日に、少しずつリクエスト。
ハイブランドのものがすべていいとは言 いませんが、技術と信頼の積み重なりに、感銘を受けることも確かです。いつの日か娘も使う日が来るかもしれません。
「ああ、カーリンこういうの好きだったな」と思い出になる、そういうものになりうる力があると思います。さりげなく、でも確かなもの。自分自身もそうありたいと願っているのかも知れません。
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「どっちでもいい」をやめてみる
「どっちでもいい」をやめて、人まかせにせず、自分の「好き」を優先させると、人生を気持ちよく歩けます。本書では、正直な気持ちを表現できるようになれるヒントを、文章と写真で紹介。引田かおりさんが選び抜いた器や洋服、長年集めたかご、ガラス、暮らしの工夫も必見です。