旅行で海外を訪ねた時に、意外に困るのがトイレ。清潔で明るい公衆トイレが充実している日本に慣れていると、不便を感じることはないですか?パリもそれは同じようで……。「本当につくづく、日本のホスピタリティと便利さはすごいと思います」と松永さんはため息を漏らします。
元日に街を散歩した時のこと。長い時間、寒い中を歩きまわったので、トイレに行きたくなりました。場所は市庁舎前、つまり街の真ん中だったのですが、ここで大問題発生。その周辺に「使えるトイレ」がなかったのです、さあ大変!
パリのトイレ問題は切実です。日本のようにトイレが使えるコンビニは無く、スーパーや地下鉄(メトロ)構内にもトイレはありません。ではトイレに行きたくなったらどうするか?デパートなどの大型商業施設、カフェやレストラン(飲食することが前提)、公園などにある有料トイレや公衆トイレを探します。それでこと足りそうな感じがしますが、大型商業施設があまりないうえに、トイレの設置自体が少なめ(そして壊れていて使えないことも多い)。公衆トイレの数は限られ、頼みの綱の飲食店は、現在コロナ禍で閉鎖中。さて、そんな中で緊急事態に陥った私。元日で目の前のデパートは休業、震えながらパリの中心で「万事休す!」…でしたが、営業していたパン屋さんで買い物がてら事情を話すと、快くトイレを貸して下さったのでした。ああ助かったー。
その昔から衛生状態が悪いことで有名なパリ。外で利用できるトイレが少ないとはいえ、この21世紀になってもなお、その辺で用を足す人が多くてびっくりします(ポリスに見つかれば罰金)。近年、公衆トイレは増えてきたものの、1回の利用ごとに室内丸ごと水で自動洗浄するという、かなり大雑把な管理方法。ときどき清掃が入りますが、衛生面は気になるところ…。その点では有料トイレの方がまだ安心。利用料は0.5~1€ほどで、レベルに差はあれど清掃されているので、安心を買う気持ちです。
また、旧い建物の飲食店では、大抵地下か2階にトイレがあり、使われていない暗いフロアの片隅ということも。それだけでも不安になるのに、「鍵が壊れている」「水が流れない」「紙がない」「便座がない」というトラブルもしょっちゅう(フランス人はノックせずいきなりドアを開くので、鍵が壊れていると大変!)。なので、リノベーションされた明るく綺麗なトイレは、それだけでお店の印象がぐーんと上がります。
そんな事情から、私の中には「マイ・トイレマップ」があり、行動範囲のトイレ情報を常にキープ&アップデート。除菌シートやポケットティッシュの携帯もマストです。いろいろ不便がありますが、これがパリという街なので致し方なし。しかし先日、再び当面の大型商業施設の閉鎖が発表されました、あーあ。ということで早速トイレマップをアップデート。さらに不便な生活は、しばらく続きそうです。