あのスポーツの祭典を振り返り。しらけムード一変!結局パリ市民が最高に楽しんでいた

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。今月は桜井さんが、7月26日に開催された世界的スポーツの祭典で沸いたパリの様子をレポートしてくれました。

パリが、フランス中が、ウキウキと沸き立っていたあの世界的スポーツの祭典がついに終わってしまいました。パリは世界中からたくさんの旅行者が訪れる、どんなときも賑わっている街ではありますが、期間中のあの特別な空気、多幸感はもう戻ってこないのかと思うと寂しい気持ちになります。

7月の記事「もうすぐ始まる!大会目前のパリレポート。今しか見られない特別なパリの風景に心躍る!」を、期待半分、不安半分で書いていた自分に、「大丈夫、無事に終わるよ、それどころか、フランス人たちが誰よりも一番盛り上がっていたよ」と教えてあげたいくらいです。忘れられない思い出になったこの夏を振り返ってみたいと思います。

いつもと違う、歩行者天国のあるパリの街並み。

見慣れたパリの街が、いつもとはまったく違う顔を見せてくれて、期間中のパリ歩きはワクワクしっぱなしでした。エッフェル塔をバックに行われたビーチバレーやブラインドサッカー、アール・ヌーヴォーのガラス屋根や鉄の装飾が美しいグラン・パレでのフェンシングやテコンドー、コンコルド広場でのスケートボードやブレイキン、ヴェルサイユ宮殿での馬術など、テレビで観戦していた方も、パリの美しいモニュメントを満喫されたのではないでしょうか。

自転車ロードレースのコースになったため、車が通れなくなり片側が歩行者天国になったオペラ大通り。この通りのど真ん中をこんなふうに歩けるなんて奇跡のよう。

期間中、中心部の車通りがだいぶ少なくなっていて、普段なら難易度最高レベルな凱旋門まわりのラウンドアバウトも、今なら運転できるかもしれない と思うほどだった。

エッフェル塔からの眺め、その1。セーヌ川の向こう側のトロカデロ庭園には、毎日メダリストたちと一般の観客が喜びを分かち合うチャンピオンズパークがあった。

エッフェル塔からの眺め、その2。反対側のシャン・ド・マルスにはビーチバレーやブラインドサッカーのスタジアム、その奥には柔道やレスリングの会場となったグラン・パレ・エフェメール。上から見る景色がずいぶんわってく。

エッフェル塔からの眺め、その3。チュイルリー公園に設置された聖火台の気球。こうして見ると、まるで元からあったかのようにパリの街になじんでいる。

道行く人が、各国・トリコロールカラー!

メトロに乗っても街を歩いても、あちこちにそれぞれのカラーや国旗の服を着た世界各国の人、そしてトリコロールカラーに身を包んだフランス人たちにたくさん出会い、そのすべての人が、この大会を楽しんでいるという一体感が街を包んでいました。

日本選手も活躍したスケートボードやブレイキンなどのアーバンスポーツが行われたコンコルド広場。ここも車がまったく通らない姿はなかなか見られないので貴重。

もちろん実際に会場に足を運んで、サッカーやバスケットボール、ハンドボールの観戦もしてきました。会場DJがさまざまな形で盛り上げ、ボランティアさんたちも良い意味でフランスらしくリラックスしていて、どのスポーツも雰囲気は最高でした。

一つくらい日本の試合が見たいと追加で購入したバレーボール女子予選、日本とポーランドの試合。まさかパリで「ニッポン チャチャチャ」を叫ぶことになるとは 。

パリ市庁舎前広場では巨大スクリーンでのライブビューイングや、さまざまなスポーツの体験コーナーがあった。今回、パラスポーツへの注目もかなり高まったと思う。

空中に浮かぶ球体の聖火台。

今大会、競技以外で大きな話題になったものの一つが、気球の形をした聖火台ではないでしょうか。聖火台といえば開会式・閉会式が行われるスタジアムの高いところに置くもの、という固定概念を打ち破り、パリのど真ん中のチュイルリー公園という、誰でも見られる場所、パリ市民そして世界中の人の記憶に残るような場所に置いたそのアイデアに脱帽します。

チュイルリー公園の、普段なら子どもたちが舟あそびをしている大きな池の上に置かれた聖火台。昼間はこうして地上に留められている。

高さ30メートル、炎の輪の直径は7メートル。200個の高圧噴霧ノズルから出る霧を40個のLEDで照らした、燃料を一切使用しない「電気の炎」。ギリシャのオランプから採火された本物の聖火はすぐ近くに展示されていた小さなランプで燃えていた。

期間中は毎晩、日が暮れると聖火台が空に浮かび上がり、とても幻想的な風景が見られた。

ルーヴル美術館とチュイルリー公園の間にあるカルーゼル凱旋門から覗く聖火台。

期間中、予約をすれば無料で見学でき、毎日1万人もの人が訪れました。マクロン大統領をはじめ、大会後もパリに残したいと考える人が多いものの、今後の予定は未定。一旦は撤去されることになりました。

大注目だった、大会マスコットの『フリージュ』。

もう一つ、注目されたのが大会マスコットのフリージュ。2年前に発表されたときはいまいちピンと来なかった人が多かったのですが、大会が始まり、動くフリージュやキーホルダー、ぬいぐるみのフリージュをひんぱんに目にするようになると、みんなすっかり魅了されてしまい...ゆるキャラというものが基本的に存在しないフランスで、驚くばかりの大人気となりました。

試合前には必ずフリージュが登場して観客に愛嬌を振りまいていた。

少なくとも150万個売れたというフリージュのぬいぐるみ。

撮影・文/桜井道子

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トリコロル・パリ

荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/

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